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生徒指導~小学校段階での考え方~【第135回】

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教科・指導

「不倫」を学校で考えるには

 不倫の報道が連日されている。裏切られた者の落胆と失意と怒りは、多くを不幸に巻き込み、信頼を一瞬にして吹き飛ばす。それが分かっていて何故するのか。欲望を先にした結果の不幸は、不倫に限らずに多くの場面で見受けられる。こうした事実を題材にして、その代償や被害の大きさをきちんと教える学校教育の場面はどこにあるのだろうか。

 こうした醜い現実の出来事を題材にして、具体的に考えさせ、内心に潜む欲望の暴走を制御する訓練が、今の学校カリキュラムの中には存在しない。本来ならば道徳で取り上げたい内容ではあるが、そこまでには至らない。総合でも荷が重いだろう。
 私なら生徒指導でしっかりと取り上げる。勿論、目的や言葉を丁寧に使うが、誠実に児童・生徒へと投げ掛け、考えさせる。大学でこうした授業をすると、今日の話題は私の家にもありましたと自ら報告に来る学生は少なくない。

 人事管理をしている時、職員の欠勤があり所在不明となった。履歴欄から研修を受けている事が分かった。すると翌日、別の職員の欠勤の報告があった。この履歴欄にも研修が同時期に書かれていた。生後数ヵ月の新生児を置いて二人が失踪していた。繋がりがこの研修にあったことが後日判明した。
 多くの人を不幸に巻き込んだ。寂しさを埋めるのが恋愛ではない。熱病であり、新型ウイルスにも似ている。恋はいつも初舞台で練習がないし、教えられてもいない。教師は優等生で遊びが無いため、実に狂った恋愛にも感染しやすい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~