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生徒指導~小学校段階での考え方~【第150回】

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教科・指導

1人のときに自律した行動ができるよう

 生徒指導の目指す姿は、自己指導能力である。教師によって秩序が保たれ、監視による力関係によるものではない。自己は他者があって存在するものである。
 力関係ではSDGsにはならない。国家間の政治はパワーバランスで平和を維持しているとするから争いが絶えない。諸国のリーダー層は世で言うところの超優秀な面々らしいが欲望に支配された愚かな姿を露呈している。それは子どもが見てもうんざりする。自己指導能力が欠落した姿なのである。

 「小学生にも理解できる事を大人は何故できないのか。自分達が出来ない事を何故子ども達にやれというのか」と、ある少女が国際会議で各国代表に話したと聞いた。もっともである。
 自己指導能力は自律や共存共栄等の意味を含み、人前でなく、ひとりの時に自律した行動が取れるかどうかにかかっている。自己指導とは究極の自分との対峙であり、何のために生き、何のために行動するのかという自己存在への探究となる。

 こうした「何のために」という問いを教育課程全ての基底部に置き、常に意識し、子どもの人格を尊重しながら納得のできる丁寧な指導を行うことが大切となる。
 この一点こそが教師として親として、はたまた行政、経済、政治において最も欠けやすい点に思えてならない。これを教育の必須とし、私利を優先にするリーダーが生まれない土壌を作らねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~