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生徒指導~小学校段階での考え方~【第152回】

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教科・指導

壁を乗り越える術を授ける

 嫌なことや、苦手なこと、恥ずかしいことなどに、人はどのように対処するか。これは人生の課題でもあるし、人間誰しも直面する壁でもある。その壁は意外と外にあるものでなく、自分の内に存在する壁でもあったりする。
 これらに対する自分なりの乗り越え方を私達はどこで身につけて行くのであろうか、来たのだろうか。私はほとんどの場合、小学生段階にあると考えている。

 しかし、この重要な「乗り越え術」を意識して教わった記憶がないのではないだろうか。本来は全教育活動の中で体得させるものであるが、成績評価として明確でないため、スキルや意識の弱い教師の視点には入っていない。教師は児童個々の課題を把握してチャンスを見つけては意識的に仕掛け、乗り越えさせていく工夫を凝らす必要がある。この機会をいつ、どのように与えるかは教師のセンスに依るところが大きいが、残念なことに大学では演習されてはいない。

 多分に、何気ない教師の誉め言葉が転機になったと言う教え子はかなりの割合になる。最初、自信はなかったし、嫌だったし、苦手だったし、恥ずかしかったし、とても出来ないと思っていたけど、先生や友達の励ましの言葉に押されてやってみた。あの励ましがなかったらと回想する教え子は多い。それも本気で励ます。その本気度に感化され人生の視野を広げて歩み出す事は間違いない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~