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生徒指導~小学校段階での考え方~【第176回】

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価値の高い話し方

 生徒指導として価値の高い話し方について触れておきたい。感動体験があれば、自ずと言葉になる。饒舌でない方が説得力がある場合は少なくない。噺家ではないのだから、その生き方が滲み出る方が私は誠意を感じる。
 自分の話術に酔うようであってはならない。まるっきり行動や心情が伴っていない事が表情からも伝わる。名言や喩えを用いても聞く人が聞けば一発である。

 言葉は繕えても日頃の心情や行動は五体から滲み出る。子どもはそこを見抜くから素晴らしい。この感性が大人になると鈍り始める。
 教科書に学びを導くためにと「吹き出し」が増えた。本来は「吹き出し」を導く力量が授業の醍醐味だったはずだ。こうした教科書を見ると教師は不要になりはしないかと考えてしまう。すべてがマニュアル化され標準化されたら教師の人間性の価値が薄れる。

 その意味でも、話が上手くなるよりも、誠意を失わない事が大切である。慢心や高慢の教師は実に醜い。誰もそれを指摘しないから実に醜い。
 小学生は掛け値がない。だから本物は忘れない。この本物の感動体験の話をしてほしい。
 災害の話をしたいと担当教師が相談に来た。即、被災地へ向かわせた。「私は何も出来なくて、悔しかった」と子どもの前で涙を流し語った。講釈師になってはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~