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コロナ時代に考えたい学校問題【第79回】

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任命と選考

 日本学術会議の構成員の任命について、かなりの話題となっている。ここでのキーワードは、「任命」と「選考」の2語になる。
 任命は権限を持つ者がすべき事であって、公立小・中学校の教員ならば任命権者は、都道府県・政令市教育委員会となる。任命権者は処分も行う。市町村教委から教員人事についての意見、推薦が出ても、不適切ならば差し戻すとか任命をしないことは当然である。推薦はあくまでも推薦で決定の際の資料であり、参考としている。すなわち推薦者が任命権者に強いる事は出来ない。そうでないと任命権者の存在が意味を持たなくなる。
 また、「選考」とは、字のごとく様々な要素を加味して、その趣旨に沿って序列をつけながら複数で協議し、選考することになる。教員採用試験も点数で仕分ける競争試験ではなく、様々な角度から論議を重ねて選考をするため、個々を数値のみで判断するのではなく、その職に適切かを選考委員が議論して結果を出す流れがある。
 よって、情報公開をするときも選考の場合は、総合判定を出すに止まる。すなわち、非認知能力等も要素にするために「選考」となる。
 ある時、水泳の実技を試験に加えた。記者から、「泳げなかったら不合格ですか?」と聞かれた。他の要素も多くあるために、要素のひとつにしか見てはいないと回答した。
 要素の中身を詳しく話すと選考基準が独り歩きするかもしれない。あくまでも、その職に就く人間としての総合力として相応しいかを判断するために、選考委員の経験値や価値観、人間観、教育観等を判断することになる。点数で優劣をつける競争試験とは別物なのである。
 よって、開示請求しても詳細までは出てこないのが「選考」なのである。これを説明するとなると極めて曖昧に聴こえてしまう。議論しても結果は変わらない。
 そこまで読んでの判断であれば、今回の一連の騒動は想定できたはずである。国民のための優先順位を見誤っている事は間違いないだろう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題