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コロナ時代に考えたい学校問題【第111回】

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論説・コラム

「頑張れば優秀に」の自負と少人数学級

 財務省が少人数学級には効果は認められないと主張している。学校現場は猛反発をしている。文部科学大臣は、遠慮ぎみに30人と小声でつぶやいているように私には感じられる。
 ここでの明らかな違いは、それらを判断している人の生育にある。すなわち、50人の学級でも頑張ればいくらでも優秀になれるという自負がある面々がいる。そうした官僚や議員、いわゆる高学歴の集まりが論議して決定してよいのだろうか。
 ある県議と話していたとき「私達の頃は、塾もなく学級には40名以上がいたが、皆それぞれに競争心をもってやっていた。僕は何故か常に1番だったよ」と、話された。ここで既に議論は終わっている。すなわち「本人次第だから学級の人数には関係がなく、教師が楽をしたいからだよ」と結論付けるのである。
 特権意識を持つ官僚がいる。選ばれた特別な人間とまで自負する人ともよく出会うのが現実である。この国の舵取り役が、庶民意識とは程遠い特権意識を持っていると、学校現場の意見は外野のヤジのように受け取るのだろう。「個別最適化」は、とても耳障りのよい言葉だけれど、人の選別になりはしないかと危惧している。うまい話には必ず裏があるからだ。
 先日、近隣の老人ホームに行った際、元大臣であるとか、著名人であるとか言われても皆同じに見えた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題