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コロナ時代に考えたい学校問題【第152回】

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不祥事の要因に「師」の不在

 「師」の居ない教師が、急増している。不祥事もそこに要因の一つがあると思える。自分が師になると謙虚さを失い欲望に制御ができなくなる。あなたの「師」は誰ですか?と、問うことが師と付く職の人には必要不可欠である。
 埼玉県が不祥事対策の動きを発表した。苦肉の策として評価はできるが、効果は未知数である。すなわち、内省を促すのならばこの程度で身に付くだろうか。
 私が勤めるモラロジー研究所では毎朝朝礼があり、本日の仕事を紹介し共有する。もとを忘れず末を乱さずの思いが滋養される。「月刊朝礼」を読んで自分の思いを語り、「今日も1日宜しくお願いします」と、こころをあわせるのである。
 モラロジー研究所は道徳教育を振興する財団であって宗教団体ではないが、こうした何気ない取り組みを重ねるなかで、一体感や相手の価値観や心情の理解が共感できるのである。いわゆる「自己指導能力」を養う自己存在、自己決定、共感的人間関係が営みの中に見事に体現されているのである。
 これを毎朝5分程度で行う習慣は極めて重要に思えてならない。これは「習慣」だから染み込むのである。
 打ち合わせをどんどん減らして、週に1回にしている学校などは、相互の距離が自ずと広がり見えなくなり孤立化する事になる。合理性をあまりに優先すると、こころが見えなくなってしまう。学校は人間を育て、育てられる組織であって、機械を作っているのではない。そろそろ何でも効率性や合理性で失うものが多いことに気がつかねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題