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コロナ時代に考えたい学校問題【第174回】

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歴史的人物の評価

 歴史上の人物を過度に評価したり蔑んだりする傾向があると思う。坂本龍馬や吉田松陰はそれぞれ、過大に評価されているように考える。NHKの大河ドラマにより、渋沢栄一に注目が集まっている。このような人物の影に、本人にとって都合の悪い事実があっても消し去られていくのが世の常ではないだろうか。
 私は幼い頃に九段の芸者の置屋に預けられた。夕方になるとハイヤーが並び次々に出掛けていった。やがては、愛人として、影のある笑顔を残してパトロンへと向かう姿を見てきた。金も名声もあるとこんなことをするんだと幼心に不愉快に思った。
 そのような現実は今でも耳にする。それで皆が幸せならよいのかも知れないが、父のいない子どもの心理はどうなるのだろうか。
 渋沢にも複数の愛人がいたという。時代が許したのかもしれないが、現在もそうした事をやっている実業家や政治家などもいるのではないだろうか。愛人との間に生まれた子どもの事を考えると実業や政治の手腕が優れていても、人間的な評価は極めて低くなる。この視点を教師は持たねばならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題