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コロナ時代に考えたい学校問題【第175回】

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利害関係者との懇談

 利害関係があるとは思われないが、教育委員会に勤務していたころ、よい教員を得るために国立教員養成大学の幹部と毎年懇談をしていた。時には試験問題の傾向や面接の話題にも触れることになる。こうした接触はよくあることであるが、規範に反しているとは感じられなかった。
 遠方の県の大学へ出向き、優秀な教員が欲しいので当方の採用試験を受けさせて欲しいとお願いをしたことがある。しかし、当日はその大学から誰ひとりも来なかった。すなわち、そこまで大学は入れ込んではくれないのである。
 選考試験は競争試験ではないのだから、人物をしっかりと評価する視点が大切になる。この人物をどのように評価するかは、最終的には評価者の判断になる。
 唯一の基準は、「自分の学校に欲しいか」という視点である。専門性よりも人間性が教師は基本とされる。こうした事は当然の事ではあるが、養成大学の先生方はこうした話に身を乗り出してメモを取る。頷く程度なら分かるが、真剣に話を聞かれる姿にこちらが驚いてしまう。採用側とズレが出るのはこの点からも当たり前ではないだろうか。
 ある年、点数に重点を置いて選考の評価をしたところ、国立教員養成大学や大学院生よりも短大生や通信制大学の受験生が高得点を示した。その年、この国立大学の教員採用試験合格率は全国で最下位となった。その年度末に突然、私は左遷をして頂いた。実に分かりやすい処遇であったが、翌年、評価の重点が変わると、本来の力を発揮してくれたようで、悔いてはいない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題