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性教育はどうして必要なんだろう?

16面記事

書評

包括的性教育をすすめるための50のQ&A
浅井 春夫・艮 香織・鶴田 敦子 編著
若者の実態、世界の流れなど解説

 学校現場の教員の皆さんに、本書の書名の通りの質問をされたら何と答えますか? おそらく「言われるまでもない」でしょう。さらに、「どうやっていますか?」と突っ込まれたら…。ご安心ください。本書があります。
 本書を手にして、前述のようないたずら心を持った。評者も現場にいた時に本書を手にしておれば悩まずに済んだからだ。そんな明快さが本書にはある。
 前書きは熟読するとよい。表を含め10ページ足らずだが要点が全て押さえられている。副題にある「包括的性教育」を進める必要性が示唆される。
 そして本文は4章仕立て。1章はその必要性を解説する。中・高生等の実態等が丁寧に説明され、改めて必要性を納得できる。次いで2章、ここでは性の問題を家族、家庭の問題状況と絡めて説明する。性教育の背景は、その思想を含め、思いの外深いものがある。
 3章は、本書の白眉といってよい主張が満載だ。これからの性教育はどうあるべきかが具体的に語られる。「教員自身がその教育内容の必要性を感じとらなければ子どもたちには伝わらない」との言は性教育ならずとも至言であろう。4章は世界の流れや今後の課題である。旧態依然のやり方では駄目なのだ。首尾一貫した内容・構成は執筆者の「想い」があふれているせいかもしれない。
(1728円 大月書店)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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