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生徒指導~小学校段階での考え方~【第61回】

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地域の「顔役」への対応は

 地域には「顔役」がいるものである。かつて、赴任したばかりの学校で、その当日に「顔役」が赤ら顔でやって来た。
 俺と誰々は仲間だ、教頭をいじめるなよ、前任の校長の面倒は俺が見てやったのでよく土産を持ってきた、教頭を借りるぞ…と夕刻飲み屋に連れ出した。そこに教委の課長を呼び出し私に威厳を見せつけたのであった。
 こうした悪癖は10年以上続いていた。
 さらに、講師の人事情報も校長より早く知っていて、確認すると教委はとぼけた。加えて警察の防犯パトロールの幹部に君臨し、女性の運転で酒の匂いをさせてやってくる。いわゆる「ごろつき」である。絶妙に組織に入り込む。その非道を近隣の町会長たちに話すと驚愕した。地域では相手にされていないことが判明した。副市長が知るところとなり、やがて正常化へと向かった。
 こうした輩は、一部の保護者や教委や議員や警察をも巻き込む。対抗策は良識ある保護者や心ある町会役員との連携と忍耐にある。すなわち民意と権力の対立となる。
 最後は民意が優位になるが、その道程は教育者にはかなりの試練となる。教頭などが取り込まれていた場合、校長は孤立する。その際に役立つのは日頃の誠実な地域連携が人をつなげ、腹を据えた誠実な言動が解決の糸口となる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~