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「逆向き設計」実践ガイドブック

14面記事

書評

『理解をもたらすカリキュラム設計』を読む・活かす・共有する
奥村 好美・西岡 加名恵 編著
図表や指導案例で理解しやすく

 評者にとって、本書は難解な一冊であった。書名の「逆向き設計」という言葉も寡聞にして知らなかった。しかし、読了後の今、現場にいた頃に出合いたかったと、つくづく思う。
 「逆向き設計」とは、誤解を恐れず言うならば、カリキュラムを評価から逆向きで設計していく発想である。それだけではない。そもそも、指導する教師の立場からの発想ではなく、学習する児童・生徒たちの深い理解を求めるという視点に立つというのである。そのため、本書では「深い理解」をはじめとして、「本質的な問い」「パフォーマンス課題」「ルーブリック」などの表現も結構多い。
 だが心配はいらない。本書の巧みな構成が解決してくれる。3章仕立てのまずは解説編だ。カリキュラムの設計に当たって、手順を順序良く解説する。やり方がうまい。図表を提示し、それに沿って説明するので納得しながら読み進められる。しかも各節の終わりにはQ&Aページが設けられ、率直な疑問に答えてくれる。
 次の実践編は国、社、算、理、音、体の6教科の事例が報告される。特筆すべきは逆向き設計にのっとった各教科の指導案例だ。とりわけ評価欄がユニークで面白い。大いに参考になろう。最後の研修編は教師の力量形成にも逆向き設計の発想が生きるというものだ。各自、じっくり読み進めてほしい。
(2420円 日本標準)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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