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人間教育をめざしたカリキュラム創造 「ひと」を教え育てる教育をつくる

18面記事

書評

シリーズ・人間教育の探究(2)
古川 治・矢野 裕俊 編著
学校を基盤に開発した事例紹介

 「人間教育」とは、人間的な成長・成熟をめざす教育であり、人が自分自身の人生の主人公として判断し、社会に責任を負えるような主体性を育てる教育でもある。
 本書は、「人間教育」をめざすカリキュラムについて、学習指導要領の変遷と学力、資質・能力を基盤とした教育と授業づくり、カリキュラム・マネジメント、学校を基盤としたカリキュラム開発、国際的なカリキュラム改革の動き、一人一人を生かす特別支援教育、生きる力を育てる特別活動、内面世界を育てる授業づくり、中高一貫教育などとの関わりの中でそれぞれ多面的に考察している。
 実践事例としては、オランダのイエナプラン教育、ローカルカリキュラムを作成してきた京都市独自の実践研究、カリキュラム開発の先導的モデルとなった千葉県館山市立北条小学校の「北条プラン」とカリキュラム管理、静岡大学附属浜松中学校の取り組みなどを詳しく紹介している。これらの事例に共通していることは、ただ単に目に見える学力よりも、子どもの学びの世界をより豊かに実現するために、新しいカリキュラムの開発と実践に学校全体が関心を持っているという点である。
 本書で扱われた国内外の学校でのカリキュラムは、学校を基盤として開発された数例にすぎないが、これらに触発され、新しい学力像やカリキュラムがローカルに、学校を基盤として模索されることが期待される。
(3300円 ミネルヴァ書房)
(辺)

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