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探求のススメ 教室と世界をつなぐ学び

18面記事

書評

宮地 勘司 著
学びのエンジン始動させる鍵とは

 横断的・総合的な学習を各学校の創意工夫で行う総合的な学習の時間が誕生して約20年。いま、ウイルス感染対策と社会経済活動の両立という難問に、現実世界のさまざまな局面が顕在化。正解のない課題を多面的に考え、仲間と協働して取り組む学びを充実させ、予測困難な時代を生きるための力を育てることが一層重要になっている。
 日本経済新聞社の記者であった著者は、新たに登場した「総合的な学習」に期待し、学校と実社会とをつなぐ学びという教育事業を担当。その後、生徒が自ら探求する教育プログラムを開発・提供する会社を設立した。
 本書は、著者の教育についての理念とともに、これまでの実践をまとめたもの。中学・高校に加え、特別支援学校での実践が紹介されており、教師の授業観や子ども観が変わっていくのが興味深い。
 著者は、子どもが本来持っている内なる野性的な探求心を大切にし、学齢期のうちに学びのエンジンを始動させることが大事であるとし、その要諦を、

 (1) 自分が学びの起点となる
 (2) 生きた題材で学ぶ
 (3) 一貫したストーリーで学ぶ
 (4) 心理的安全性を担保する

 ―こととしている。また、人間には、身体・思考・感情・精神の領域があり、精神を高めていくことが教育の究極の目的と熱く語っており、コロナ後の教育の在り方も示唆している。
(1980円 教育開発研究所)
(大澤 正子・元公立小学校校長)

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