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学校という場の可能性を追究する11の物語 学校学のことはじめ

14面記事

書評

金澤 ますみ・長瀬 正子・山中 徹二 編著
課題解決へ多様な人の知恵と力結集

 「学校学のことはじめ」という小さな文字の副題に興味をそそられ手にした本書は、「学校とは何か」「今、学校はどういう場であるべきか」という原点を再認識させてくれる。学校の役割を、「学校を子どもにとって愛情・安心・安全の居場所に」と本書は述べている。
 2年前から続くコロナ禍の中で、学校教育を教育福祉という視点で改めて見直す必要性が強く打ち出されている。そのような中、教員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、スクールロイヤー、研究者という多種多様な方々の11の物語の根底に、「誰一人取り残さない」という強い主張を感じる。そして、外から学校現場を見て批判的であった方々が、実際に学校現場と関わり、教員の職務の困難さに触れ、学校の一元化から多元化へのシフトチェンジを提唱している。
 すなわち、「子どもの最善の利益」という視点で、「学校だけで」「先生だけで」子どもの困難に立ち向かうことなく、積極的に「子どもの福祉や人権に関わる多くの人たちの知恵と力を結集して」学校という場を巡る課題の解決を目指していきましょう、との温かいメッセージが貫かれている。「学校学」とは、学校内の課題を核とし、それについて学校内外のさまざまな人が、語り合い、明日から工夫できる何かに気付く営みである、との言葉が心に残った。
(2420円 明石書店)
(中川 修一・東京都板橋区教育委員会教育長)

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