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中学14%に「授業できぬ教科」教員不足が影響

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末冨・日大教授ら調査

 教員不足の解消を求めて活動している研究者らのグループが6日、文科省内で会見し、教職員らを対象にしたアンケート調査の結果を発表した。今年4月末の時点で「免許を保有する教員がいないため、授業できない教科がある」と答えた教頭が公立の小学校で5%、中学校では14%いたという。教員不足が教育の質低下に直接、影響している様子が浮き彫りになった。
 調査は末冨芳・日本大学教授と学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊さん、元教職員からなる「スクール・ボイス・プロジェクト」がインターネットによるアンケートで実施し、教職員1052人、教頭1070人から回答を得た。教頭には、全国公立学校教頭会の協力を得て実施した。
 教員不足の発生状況は、教頭と教職員で結果が異なり、教頭では2割、教職員では4割が今年4月に起きていたと回答した。
 教員不足が起きた場合の対応では、本来は学級担任ではない教員や少人数指導のための加配教員を充てている、とする答えが多かったが、他にも小学校では「管理職が担任を兼任している」が8%、中学校では「臨時免許で対応している」が41%と目立った。授業の質が落ちるかを聞いたところ、「おおいにそう思う」が小・中ともに半数を超えた(いずれも教頭が回答)。
 教員不足の改善策に向けては、来年度から始まる定年延長に期待する声もある。
 ただ、調査で「延長しても働かない」と答えたのは、公立小学校の教職員で37%、教頭でも19%に上った。記者会見で妹尾さんは「ボランタリーな調査のため、課題に感じている人が回答しやすく、バイアス(偏り)が掛かっている可能性はある」と前置きしながらも、定年延長が教員不足解消の切り札になるのかは疑問だと述べた。
 グループでは、教員不足の悪影響や被害がきめ細かな指導を受けられない、などの形で子どもたちにも及んでいると指摘。緊急策として、育休短時間勤務教員の定数外措置や、教職に就いた人への奨学金返済免除などを提案した。

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