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令和4年 通常国会質疑から【第10回】

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行財政

 6月に閉会した通常国会では、予算案・法案審議の他にどのような質疑があったか。衆議院文部科学委員会、参議院文教科学委員会などでは、まだ、あまり明らかになっていない政府の考え方などが見えてくる。6月3日の衆議院文部科学委員会では、GIGAスクール構想で整備した情報端末の更新費用をめぐる質疑があり、政府側は、「検討」と答えるにとどめた。

タブレット端末の更新費用、どうなるか

岬麻紀議員 タブレット端末の更新費用について伺います。端末を整備された後も毎年のように費用の負担が生じ、また、端末の保守管理、通信費用など、ランニングコスト及び端末更新への多額な費用がかかることが自治体で大変大きな課題、そして懸念になっているということでございます。
 約五年後に迫るこの端末の更新費用についてですが、現在検討中ということでございますが、その後、どのようになっているのでしょうか。是非、まずはここから伺いたいと思います。お願いします。

利用状況、効果など勘案して検討

文部科学省大臣官房学習基盤審議官 文科省では、GIGAスクール構想の実現に向けまして、累次の予算により、一人一台端末及び校内通信ネットワークの環境整備を進めてきたところでございます。昨年度から活用が始まっているわけでございますが、まずは、今般整備されましたICT端末等を積極的に活用いただくことが重要であると考えています。
 その上で、御指摘のありました機器更新等に係る費用負担の在り方、これにつきましては、文科省としても大変重要な課題だと認識しております。
 今回整備した一人一台端末等の利用状況、そして効果、また地方自治体の方々の意見、こういったものを総合的に勘案し、しっかりと丁寧に聞き、さらには関係省庁と協議し、検討してまいりたいというふうに思ってございます。

活用状況の把握が必要

岬議員 大変曖昧な答弁でございましたので、私の聞いている意図とはちょっと違うかなとは思いますけれども、GIGAスクール構想によりまして整備されましたICT端末において、今後の機器の更新等に係る費用負担の在り方、これは重要な課題だという認識は今お聞きすることができました。ただ、検討を進めているだけでは、現場は結構困ってしまうということなんですね。
 今般整備されましたICT端末等を積極的に活用していくことが重要であるとも、お答えがございました。
 というのは、文部科学省において、令和三年三月十二日、GIGAスクール構想の下で整備された一人一台の端末の積極的な利活用についてという項目を通知されています。
 さらには、令和四年三月三日に通知は更新されています。GIGAスクール構想の下で整備された学校における一人一台端末等のICT環境の活用に関する方針ということで、通知が出されています。
 この中を確認いたしますと、ICT環境の整備、また端末運用の準備、持ち帰った端末等を活用した自宅等での学習、また校務の情報化の推進、学習指導等の支援、デジタル教科書の活用、保護者や地域等の理解の促進などがございまして、詳しく内容は盛り込まれております。
 ただ、この現状、文科省として、こうした通知を出した上で、具体的に地域がどのような取組を実際にしているか、できているか、さらに、この活用状況の把握をしていく必要があるのではないかと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

本年2月に調査

文部科学省大臣官房学習基盤審議官 一人一台端末の整備はおおむね、今お話ありましたが、小中学校で整備が完了し、GIGAスクール構想は、環境整備のフェーズから利活用のフェーズに移ったと認識してございます。
 文科省では、臨時休業期間中の学習指導等に関する具体的な取組状況を把握するため、本年二月でございますが、調査を実施いたしました。
 その調査によりますと、同時双方向型のウェブ会議システムの活用、これにつきましては、令和三年九月時点で三割だったところを、本年二月の調査では、約七割の学校で行われたという結果を得ました。GIGAスクール構想により、一定の成果が出てきているものと考えてございます。
 また、学校では様々な新しい取組がなされておりますが、それと同時に、様々な悩みや課題もあると承知してございます。
 文科省といたしましては、省内の特命チームにおきまして、優れた事例、そういったものを集めて、そして発信し、また、個別の教育委員会の悩みに、相談できる、そういったアドバイスの体制、これも整備しているところでございます。
 さらには、本年三月でございますが、保護者との間に事前に確認しておくこと、これは極めて重要ですので、こういったものについてのガイドライン、これを作りまして、周知を図ったところでございます。
 今御指摘ありました、まさに走りながら考えるところもあります。しっかりと現場の状況、そういったものをつぶさに分析し、それについての解決策を示しながら進めてまいりたいと思います。

更新費用の方針示す時期は

岬議員 活用は現場でどんどん進んでいるという状況が把握できました。
 そうしますと、これから先を見据えてどのように進めていかなくてはならないかということで、やはり費用の質問にもう一度戻していきたいと思います。
 朝日新聞ではアンケートを昨年六月に実施しております。そこでは、配備された端末が約五年後に更新時期を迎えるため、その費用負担について国の方針を早く示してほしい、これは幾つかの自治体が声を上げております。
 さらに、令和二年一月三十日の指定都市市長会においては、GIGAスクール構想を持続可能なものにするためには、国の責任において、端末整備完了後における機器の保守管理及び端末更新時の費用についても国庫補助の対象とし、継続的かつ十分な財政支援を行うこととされております。
 さらには、令和四年五月十九日の全国都道府県教育委員会連合会において、端末や校内LAN等の機器の維持、増強は不可欠であるが、地方公共団体の財政力のみの対応は困難である、機器整備の更新や一人一台端末を見据えたネットワーク増強の費用について、国は耐用年数やランニングコスト等を踏まえた継続的かつ十分な財政措置を講じること、特に多額な経費がかかる義務教育段階における児童生徒用の端末更新期には、国による十分な財政支援が必要であること、端末の更新をできるだけ早い時期から計画的に準備ができるよう、国において、更新経費に対する財政措置の考え方を早期に示すこととございます。
 また、私の選挙区であります愛知県清須市において先月直接お話を伺ってきたところ、タブレット端末の導入に当たって約三億円がかかっている、更新費用について国の見通しを知りたいと、強い声が届いておりました。
 今自治体の求めていることは、国の方向性、そして早期の方針を示してほしい、また、それがないと準備を進めていきづらいということではないかと思います。国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの豊福准教授によりますと、将来、国がどこまで予算措置をするのか、その方針がなければ自治体は動きようがないという指摘も入れております。
 ここで質問です。
 文科省は、こうした意見や指摘、どのように答えるおつもりでしょうか。具体的な内容について今後検討としても、せめて、いつ頃までには方針を出すよとか、そういった目安が発表できないのかなと思っているところですが、ここは大臣に是非お声をいただきたいと思います。お願いいたします。

できるだけ早く「めど」

文科相 今後の機器更新に係る費用の在り方につきましては本当に重要な課題でございまして、この検討を進めていくためにも、まず、今般整備された一人一台端末を積極的に活用いただくことが重要であると考えているんですが、GIGAスクール構想は、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す、令和の日本型学校教育の基盤となるものです。その持続的な推進に向け、今回整備した一人一台端末の将来の在り方について、数年後の更新時期を見据えて、関係省庁と、まず、これはもう、検討というよりも、積極的に検討いたしてまいりたいと思ってございます。
 私の部屋にも来られますのは、各議会の意見書が一番多いのは実はこれが一つでございます、この更新はどうなるんだろうかと。市庁舎に行きましても、市長さんは、やはり、うちのところは七億ぐらいかかってくるという話もよく聞きますので、いずれやってくる大事な問題でありますので、できるだけ早くめどが出せるようにしたいと思います。

令和4年 通常国会質疑から