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一刀両断 実践者の視点から【第220回】

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「あり得ない」でとどまるな

 学級担任を続けられなかった腹いせに、薬剤を給食に入れたと言う驚愕のニュースが報道された。その幼稚な手口と理解し難い行動にかなりの思考の混乱があった事が推測される。
 こうしたある意味奇異な事件は、あり得ないという視点で処理されやすいが、そこにとどまっていては、動機やその背景を見誤って、本質を掴めない。評判の良い教師であったという話だが、必ず事件を起こす動機につながる何かがあったはずである。わがままや固執する傾向が熱心さに勘違いされ、所有欲が見えにくくなる時がある。
 外見や子供や保護者からの評価を鵜呑みにしてしまうと判断を誤る事になる良い例である。
 以前、高評価の養護教諭が居た。怪我の補償に関する書類の再提出を怠り、こともあろうに自腹で偽名を使い保護者に振り込んでいたという事件があった。既に退職していたので処分は免れたが、そのあり得ない不適切な処理を管理できなかった管理職や市教委の担当は驚き慌てた事があった。あり得ない事があったのだから、あり得るという認識が必要なのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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