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未来を見据えて「高大接続改革」へ

10面記事

高校

全国の12会場で
大学入試改革先取り対応セミナー
(株)ナガセ・本社主催

 「高大接続改革」をテーマに、今夏、全国12会場で開催した大学入試改革先取り対応セミナー((株)ナガセ・日本教育新聞主催)。約5千人の高校教員らが受講。文科省関係者らがその意義を語り、参加者からは「改革の必要性が分かった」などと好評だった。

文科省幹部らによる基調講演・講演
学力の3要素つなぐ 高校・大学・入試改革を一体で
アクティブ・ラーニング 授業の質的な転換を

 文科省の高大接続・初等中等教育局担当の伯井美徳審議官、高等教育局担当の義本博司審議官、松坂浩史文部科学広報官、国立教育政策研究所の大槻達也所長などによる基調講演、高大接続改革プロジェクトチーム(水田功・初等中等教育局主任視学官、新田正樹・高等教育局主任大学改革官、北岡龍也・同局大学振興課課長補佐、橋田裕・同局大学入試室長、今井裕一・初等中等教育局教育制度改革室長、田中賢一・同局教育制度改革室専門官)などによる講演によって、高大接続改革の狙いや意義、審議の進展状況などが分かりやすく解説された。
 平成26年12月に出された中央教育審議会による答申「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」から27年1月に文科大臣決定として公表した「高大接続改革実行プラン」の内容、それを受けての「高大接続システム改革会議」審議へと至る流れを説明。
 なぜ「高大接続改革」なのかについては、米国の研究者らの見解を引きながら、今後10年から20年程度で約47%の仕事が自動化される可能性が強いこと、現在の小学生らが大学を卒業する後には今は存在していない職業に就くこと、また、グローバル化によるわが国の国際的な存在感の低下、生産年齢人口の減少などの変化によって、求められる資質・能力が、知識・技能に加え、課題解決する力や主体的に他者などと協働していく力などになることなどと、その必要性を指摘した。
 特に、小・中学校などで培ってきた学力の3要素(知識・技能、思考力・判断力・表現力、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度)を高校、大学と一貫してつなげ育てていくことや、そのためには大学入試改革にとどまらず、高校教育改革と大学教育改革も一体的に取り組むことを目指すと強調した。
 具体的には、学習指導要領の抜本的な見直し、アクティブ・ラーニングの飛躍的充実、「高校基礎学力テスト」(仮称)の導入などで高校教育改革を実現し、大学教育改革では入学方針、教育課程編成・実施方針、学位授与方針の三つのポリシーを明確化すること、授業をアクティブ・ラーニングへと質的に転換することも求める。こうした高大の改革を、全体としては思考力・判断力・表現力を評価する「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)と、各大学の多面的な選抜方法の工夫などでつないでいくと全体像を示した。
 一体的な改革の推進については、大学入試が変わらないと高校教育が変わらないと受け止められてきたことから、一緒に変わる必要性を示した。
 今回のセミナーの期間中にも、高大接続システム改革会議の審議が続き、例えば、高校基礎学力テストが希望者による活用から、学校単位での活用を基本にすることで、授業改善などにつながるPDCAのツールと位置付けることなどと、一部変更点の意味なども披露された。
 いわゆるコンピュータを活用した試験に関しては、高校基礎学力テストで試行的に導入し、その状況を検証しながら、大学入学希望者学力評価テストへと導入を検討していくなどの道筋を示した。記述式の単文解答、長文解答などを取り入れる工程も示し、その際に生じる困難な課題なども挙げた。
 セミナー終了後の8月27日には、高大接続システム改革会議が中間まとめを公表し、年内をめどにした最終報告へと、積み残した課題への審議が続く。

横浜会場 基調講演
世界一の15歳 高大でも
鈴木 寛 文部科学大臣補佐官

 横浜会場では、鈴木寛・文部科学大臣補佐官が、高大接続改革の内容やその意義、新しい学習指導要領に向けた中教審の特別部会の論点整理を中心に基調講演した。
 現在は、大量生産に役立つ暗記力と再現力を問う「近代化教育からの卒業」が求められているという。そのために、「未知のことに遭遇した時、思考、判断、表現し、仲間と共に向き合って乗り越えていけるようにできる教育が必要」とした。
 なぜ、高大接続改革かという点については、平成24年のPISA調査で日本の15歳が総合1位に返り咲いたが、世界一の子どもたちを高校と大学で伸ばせているかを考えると心もとない。その力を花開かせるため、高校と大学の協力が求められると指摘。
 しかし、現代社会で求められ、現行の学習指導要領にも書いてある思考、判断、表現や主体性、多様性、協働性を身に付ける探究的な授業が主流になっていない理由は、大学入試の影響力が大きいからと考えられる。そのため、大学入試を変える必要があるとした。
 そして、今回の改革は教育の基本に立ち返ることであることを強調。「書を読み、師や友と語り、仲間と何かを成す3年間の高校生活を送った人がそのまま大学に進むことができ、高校時代に始めたことを深めていける入試に変えていく必要がある」と話した。
 そのため、推薦・AO型の入試を活用し、さまざまな探究的な学び、部活動、生徒会活動など高校時代の活動を評価することが重要だとした。「旧帝大などの11大学でも、今後これらの方式の入試が拡大していくだろう」と見通しを示した。
 また、新学習指導要領に向けた論点整理の中に、日本史と世界史を横断的に学んで歴史的思考力を身に付ける「歴史総合」や大学・大学院を見据えて探究活動を実施する「数理探究」の創設、「総合的な学習の時間」の社会探究的な取り組みへの再構成などが盛り込まれたことを紹介。
 一般入試でも、マークシート方式によるマルチチョイス偏重から脱却し、記述式や論述式など深い思考力を問う方式を導入する。「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)に向けて、作問の工夫で思考力を問う新方式も開発していくとした。
 そして、知識・技能の定着は大切とした上で、探究活動など高校時代のしっかりした活動を通して、思考、判断、表現や主体性、多様性、協働性を学ぶことが重要であることを強調した。

東京会場 基調講演
社会改革としての教育転換
安西 祐一郎 高大接続システム改革会議座長

 文科省の高大接続システム改革会議の座長を務める安西祐一郎・日本学術振興会理事長は東京会場で「高大接続改革で何が変わるか〜高校・大学の学びは、入試は〜」と題して特別講演。子どもの未来を考えるとき、グローバル化する世界の変化を教える必要があると、今求められる力について力説した。
 「グローバル化が進み地域活性化が必須の時代に求められる力」として、グローバル社会・地域社会への個人のコミットメントが広がり、文化・言語の背景の違う多様な人々とのインタラクションを持つ機会が増えるなどによって、個人の知識・技能、および思考力・判断力・表現力、学習継続力、合理的思考力・チームワーク力、臨機応変力が重要になると指摘。「自分の目標を自分で見いだして実践する『主体性』、多様な人々とのインタラクションを取る『多様性』、他者と協働し、学ぶ『協働性』」を実現する力を求めた。
 その一方で、例えば、不足している能力要素でコミュニケーション力と回答する割合が、学生は少なく、企業側が多いという認識のギャップがあることや、チームワーク力や粘り強さについて学生は既に身に付けていると考えている半面、企業側では、その水準に達していないなど違いが際立った。
 また、日米の1日の学修時間を比較した際に7割弱が5時間未満の日本学生の学修時間の少なさ、高校生の学力中間層の学習時間が年々低下しているなどの現状にあることを指摘。
 こうした現状にある生徒らが20〜30年後に生きていく世界は厳しい時代と語り、「1年教育改革が遅れれば、1学年分、改革が遅れるのではないか」と憂慮した。
 幕末から戦後、現代と、これからの子どもの学びはどうあればいいか、国としては第三の転換期と考えているとし、子どものための教育改革は社会改革であり、社会改革としての「教育の転換」を共有したいなどと話した。
 既に小・中学校では例えば、全国学力・学習状況調査などで小6、中3は「答えのない問題」などに挑戦しており、小・中学校で培ったことを高校、大学はどう受け止めればいいのかと投げ掛け、高大接続システム改革の意義と必要性を語った。
 「十分な知識・技能を持ち、それを活用できる思考力・判断力・表現力を臨機応変に発揮でき、主体性を持って多様な人々と協働し、学ぶことができる力が身につく教育の機会を全ての子どもたちに」と昨年12月の高大接続答申を引き合いに「どれ一つ欠けてもダメ。三つはリンクしているもの」と解説した。
 高校段階での学習指導要領の改訂に加え、高大接続システム改革での「高等学校基礎学力テスト」(仮称)、多面的評価で実施する個別大学での入学者選抜、評価方法や作問を検討している「大学入学希望者学力評価テスト」(仮称)などにも言及。
 時間の関係で各論には踏み込めなかったが、改革の必要性を熱弁した。

全会場で特別講演・分科会
英語4技能の重要性指摘
安河内 哲也 東進英語科講師

 文科省が設置する英語教育の在り方に関する有識者会議の委員の1人、安河内哲也氏(東進英語科講師)は、全12会場で特別講演、分科会(「明日からできる『英語で授業』〜授業実演と鉄則のシェア」)講師を務めた。
 特別講演では、大学入試での英語問題は2技能を問うものにとどまり、その出題の仕方も「間接的な測定」方法を採ることで、世界の潮流から外れていることを指摘。例えば、発音・アクセントの問題で「聞く力」は試せるかなどと、問題を提起し、グローバル化した社会を見据え、「読む」「書く」「話す」「聞く」といった4技能入試の重要性と、直接的な測定方法への転換などを提案した。さらに入試では出題割合の少ない訳読、文法解説講義などに取り組んでいる高校の授業課題などを指摘した。英語教育での「発話しない授業」が進行していると、その弊害の是正のため、4技能を大切にした授業改善を訴えた。
 特別講演を受けた分科会では「授業実演」を通して、4技能を重視した授業へとどう変えていくかなどを説明した。
 分科会そのものも全て英語を使い、参加者がペアワークや自己紹介、「あなたの好きな漫画は何ですか」など互いに質問、答え合うなどのワークショップ形式で繰り広げた。
 会場によっては、受講者を指名し、模擬授業をしてもらったり、クイズ形式でペア学習の仕方も分かるよう、実地に活動。
 授業改善に向け、ゆっくりと話すのでも良いので、とにかく英語で授業をすること、生徒は話すことや他の生徒の話すのを聞くことが好きなどとポイントを挙げていた。

東京大学特別講演
初の推薦入試、特色を紹介
南風原 朝和 東京大学理事・副学長

 東京会場では、東京大学の南風原朝和・理事・副学長が「東京大学推薦入試について」特別講演した。
 平成28年度から従来の後期日程募集定員100人を、「推薦入試」として100人程度の募集に切り替える。
 これまでの後期日程では、数理的な力を試す問題だったため、入学者の8割が理系で占められ、出身地域も多様性はなく、女子比率が2割を切るなど、かたよりがちな結果になっていた。
 新たに導入する推薦入試では初めて法学部から農学部までの10学部ごとの募集に。工学部が定員30人と最も多く、法学部、文学部など五つの学部では各10人程度、医学部、教育学部など四つの学部では各5人程度の募集になるなどと説明。
 推薦可能なのは共学校で男女各1人まで、男子校女子校では1人のみ、各種科学オリンピックの受賞歴など具体的に推薦要件に合致することを証明する書類などの提出といった推薦要件や、基礎学力を担保した上での入学者選抜方法の流れに加え▽求める学生像▽推薦要件▽学部が求める書類など▽面接などの方法―などを具体的に挙げ、紹介した。
 例えば、医学部医学科では「未知の生命現象の発見や革新的な医療につながる研究を長期的な視野のもとに実行する意欲と能力を持つ学生」などと、研究重点で学べる学生像を示した。理学部などでは、国際活動、社会貢献活動、芸術・文化、スポーツなどでの意欲的な活動やリーダーシップを発揮した実績も評価に加味などと、各学部の特徴に触れた。
 入学後の学修について「強い意欲を持って1年から研究や専門分野で学べるように検討している」とも話した。

講演「トビタテ! 留学JAPAN」
「大使」や「伝道師」に
企業の寄付で高校生支援

 講演の一つに「トビタテ! 留学JAPAN」の活動紹介も加わった。文科省官民協働海外留学創出プロジェクメンバー(船橋力・プロジェクトディレクター、名達健介・高校生コース担当、吉澤菜穂美・同担当、五十嵐恵美・同担当)が12会場で高校生の留学事業を中心に話した。
 平成25年閣議決定した日本再興戦略では「2020年までに日本人留学生倍増」を目指す。具体的には大学生などは6万人から12万人、高校生は3万人から6万人へと増やすことを目標に掲げている。
 文科省には高校生の留学促進プログラムとして、国費留学に当たる「高校生留学促進事業」の他、「トビタテ! 留学JAPAN 日本代表プログラム高校生コース」がある。
 「トビタテ! 留学JAPAN」そのものは、産官学の出身者で構成した協働プロジェクトチームが事業を推進する点が大きな特徴。民間の企業などからの寄付金による運営方式を採る。今年6月時点で、144社・団体から約100億円の資金表明があり、2020年までに計200億円を目標に設定した。高校生と大学生の留学支援を担当している。
 このうち、高校生コースの場合、アカデミック、プロフェッショナル、スポーツ・芸術、国際ボランティアの4留学分野を設定し、合わせて約300人を支援する。事前研修、留学後の事後研修を充実し、留学生ネットワークを構築する。
 それにより、将来のグローバルリーダーになることを期待するとともに、日本の大使(アンバサダー)や、留学の伝道師(エヴァンジェリスト)としての役割を担うことを想定している。
 第1期生は514人が応募し、303人が合格した。分野別ではアカデミック154人、スポーツ・芸術58人、プロフェッショナル55人、国際ボランティア36人。留学先は北米が136人、大洋州73人、欧州45人、アジア38人など。
 大学のサマースクールに参加し、物理学や経済学を学習▽トランポリンの五輪出場を目指し、英国チームの練習に参加▽ガーナの児童養護施設で教育支援のボランティア活動に取り組む―などの留学例がある。
 今年10月に第2期生の募集要項を公表予定という。

「アクティブ・ラーニング」分科会
「生きる力」を育てる
交流し互いを高める意識を

 早稲田大学教職大学院の田中博之教授が「生徒の汎用(はんよう)的能力を育てるアクティブ・ラーニングのあり方」と題して講演した。
 アクティブ・ラーニングや、求められる汎用的な能力などについて説明し、思考力・判断力・表現力など活用型学力を育てる「活用学習」などの必要性を指摘。学習に取り組む際には、話型・文型・思考型など「型」を活用することで子どもの思考力や表現力の活動を支援しないと、「お遊びアクティブ・ラーニングになってしまう」と述べた。また、「高校は多様なので、学校の実態に応じて難易度を変えていくようにしてほしい」と話した。
 鎌田首治朗・奈良学園大学教職センター長は、「『アクティブ・ラーニング』を授業改善のチャンスに―子どもたちは生きる力、確かな学力を本気で育成してくれる学校、教師を求めている―」と題して「アクティブ・ラーニング」をブームで終わらせず、真に「生きる力」を育てる授業へと改善するための具体的な授業の在り方を紹介した。
 東京大学大学院理学系研究科の上田正仁教授は「考える力」などについて講演した。
 地道に基礎から順を追って脳の筋肉を鍛える必要性を指摘。子ども時代に考えることが苦手という概念が入っている現状から、考えることは楽しいことと感じさせる実体験が必要と提案した。
 慶應義塾大学の藤田康範教授は自身の高校での授業実践を踏まえて、実践例を紹介した。
 授業では生徒に課題を提示し、生徒はその答えをショート・ムービーなどで表現していく。示される課題は、例えば、詩の一節であったり、東京大学法科大学院の入試問題であったりする。「どんなものでもアクティブ・ラーニングになる。教科をきっちりやった上で、こうした取り組みもしてはいいのでは」などと話した。
 京都大学の塩瀬隆之准教授は、産業界の状況から新しい教育の必要性を解説した。
 20年で荒野から大都会に変わったドバイのように、20年前の知識・技能教育が20年後の社会に通用しないことを示す。さらにロボットや流暢(りゅうちょう)な日本語を使う外国人労働者の台頭で、日本人を雇う必要性がなくなった社会に対して、学校でどのような教育を行うべきか、参加者に課題を提示した。
 文科省の清原洋一主任視学官は学習指導要領の変遷を説明し、生徒らの学習上の課題などを指摘しながら、アクティブ・ラーニングが求められている背景などを話した。
 現在取り組まれている探究的な学習の実態を挙げ、「交流が大事。お互いを高めようとする意識が芽生える」とアクティブ・ラーニングへのヒントを示唆した。さらに、14年目に入っているスーパー・サイエンス・ハイスクールの課題研究の在り方なども紹介していた。
 帝京大学高等教育開発センターの土持ゲーリー法一教授は「『教える』から『学ぶ』への転換〜高大接続教育におけるICEモデルを活用したアクティブラーニングの実践」について話した。
 米国での動向の他、評価と学習方法が一体化したカナダで開発された「ICEモデル」の説明や、同モデルを活用した広島県立安芸高校の紹介などをしていた。
 東京大学の大島まり教授は、グローバル化で多様化する社会で求められる資質を身に付けるため、必要な学び方の一つがアクティブ・ラーニングとした。
 その上で、アクティブ・ラーニングの手法として、探究活動の内容や実際に高校生を対象に行った授業などを紹介。生徒が能動的に探究するプロジェクト型学習が究極のアクティブ・ラーニングであるとし、そのプロセスなどを説明した。
 東京工業大学の西條美紀教授は立場の異なる人たちのコミュニケーションの方法を構築する「コミュニケーションデザイン」という切り口からアクティブ・ラーニングの在り方に迫った。
 時間もコストもない学校現場でもアクティブ・ラーニングは取り組めるといい、150人が相手でもグループワークは可能。評価に関連しては、自分たちの学びの結果についてリポートに書かせるなどしているという。

「アドミッション・ポリシー」分科会
求める人材掘り起こし
各大学 教育・入試改革に創意
AO入試を新たなモデルに
グローバル人材の育成推進

 「個別大学のアドミッション・ポリシー」分科会では、開催地各地域を代表する大学の協力を得て、大学教育改革、入試改革の現状や展望について講演してもらった。
 九州大学の丸野俊一・理事・副学長が高校と大学との学びの違いに触れ、大学では新しい知の創造や「他者との間で創造的な対話」が求められるなどとした。
 同大が取り組む高大接続では教委とも連携しながら、優秀な生徒の掘り起こしをする接続プログラムを紹介。さらにAO入試による21世紀プログラムでの人材育成の成果も披露した。
 長崎大学大学教育イノベーションセンターの吉村宰教授はかつての「求められる学生像」と、現在求められているアドミッション・ポリシーなどの違いを具体的に解説した。
 また、入試問題との関係では、まず求める人材、そのためのカリキュラム作成があって入試があるとし、抽象的なアドミッション・ポリシーを語るよりも、入試問題そのものが生徒へのメッセージであり、アドミッション・ポリシーと位置付けた。
 京都大学の塩瀬隆之准教授は、同大学のアドミッション・ポリシー「対話を根幹とした自学自習」について説明した。
 参加者はまず、グループワークを通じて「個人の視野はとても狭いが、違う視点を持った人と対話することによって、新たな気付きが生まれる。そうした体験を一度経験すれば、他者とはもちろん、自分自身でも意識して視点を変えることができる」ことを体感。それを踏まえ、塩瀬准教授は、同大学では高度な知識や技術を習得しつつ、答えがない、定まっていないものに対して自分と異なる多くの他者とともに自己研鑽(けんさん)し、さらに主体的に学問を深めること―を重視すると説いた。一方で、同大学でも学生の学習時間は米国に比べ圧倒的に少ないといい、小・中・高校同様、大学もアクティブ・ラーニングのような授業改革を進め、「今」ではなく「将来」子どもたちが必要とする力を養っていくことが重要だと述べた。
 一橋大学の沼上幹・理事・副学長は、学士課程教育で育成する力やグローバル化への対応力を付けるための学長の強化プランなどから、同大学の教育の特色や、伝統などについて話した。
 また、商学部、経済学部、法学部、社会学部と学部間の相違・個性によって、受験生に求めるものも異なってくる点なども示した。
 入試に関しては、大学入試センター試験などでの一定の知識水準を前提に、論述を問うことに意義があるなどと、同大学の入試スタイルを披露。
 商学部で取り入れる推薦入試では、合格の基本条件に調査書や校長推薦書に加え、英検1級などの英語資格、数学オリンピック上位者など高校時代の努力を証明するもの、センター試験で275位以内、2次試験での小論文、面接などが課される。
 制度自体の知名度は不十分としながらも、合格学生の力には手応えを感じているという。
 東京工業大学の井上剛良・アドミッションセンター長は平成28年4月から、日本の大学で初めて学部と大学院を統一する教育改革を中心に講演した。
 同大学では、約90%が修士課程に進むため、大学院も視野に入れた「学院」(学部・大学院)に改め、3学部23学科から6学院19系へと再編する予定。
 年次進行から「何をどれだけ学んだか」を基本にし、優秀で意欲があれば4年未満で早期卒業が可能だという。また、1年生から専門教育を入れる一方、博士課程まで教養科目を履修することができ、視野を広げる。
 「理論と実学が車の両輪」という特徴を持ち、教育課程の体系化を「ナンバリング」で示し、理工系人材としての基礎も養成する。1年間を四期に分ける「クォーター制」も導入。一つの科目を短期集中で学んだり、留学やインターンシップもスムーズに実施できる。
 東北大学の石井光夫・高度教養教育・学生支援機構教授は「東北大学のAO入試」を中心に話した。特に、AO入試での定員が20%を占め「非常に大きな数字」と意義付け、国立大学の中でも積極的に取り入れてきている現状に触れた。
 同大学のAO入試では、各学部の自主的判断を尊重するとともに、基礎学力を重視。加えて志望理由書、活動報告書などで、意欲、適性、好奇心などの「+アルファ」を評価する。
 一般的にAO入試は「青田買い」や「学力不問」などが問題点としてクローズアップされるが、同大学のAO入試では入学後の好成績や留年などの少なさが挙げられ、その良さが発揮されている。
 今後はAO入試の定員規模を数年かけて30%に拡大していくという。
 グローバル人材養成では平成29年度から6学部で「国際バカロレア入試」を、理・工学部で「グローバル入試」を開始する予定だ。
 北海道大学の喜多村昇教授(アドミッションセンター副センター長)はスーパーグローバル構想「近未来戦略150ビジョンの達成」での四つの教育改革について説明。
 具体的には学部学生を対象に1セメスター以上の留学なども義務付けグローバル人材の育成を目指す「新渡戸カレッジ」の開校によるNITOBE教育システム、世界の研究者を大学に呼び国際的共同研究の推進、同大学の教員が海外に行き、講演や情報発信などするラーニング・サテライトの開設、海外から研究者を招き、6月から9月にかけて集中講座などを開設するサマー・インスティテュート―などを紹介した。
 また、入学者選抜の取り組みでは、平成23年度から取り入れ、今春卒業生を出した総合入試について報告。入学後1年間学部学科について調べる機会を提供するなどにより、1年次での休学・退学が減少。学問分野の細分化が進む中で、学部選びの選択肢が広がるなどのメリットがあった。今後は「国際総合入試」などを導入、推進していくという。
 広島大学入学センターの高地秀明教授は、国立大学のAO入試が新しい大学入試のモデルになり得るとして、同大のAO入試のシステムを解説した。
 入試のコンセプト、募集要項に掲載している評価の観点、自己推薦書や課題リポートの特色などを紹介。またセンター試験の結果を「得点」ではなく、各学科での「基準点を超えたか」で評価し、合否判定に加えることについて、1点刻みの評価でない点で、新しい大学入試のモデルになり得るとした。
 大阪大学は同大学の入試課、藤原正行課長が大学教育や入試の改革などを主に話した。
 同大学は平成29年度から全学部で「世界適塾入試」を導入する予定。「世界適塾入試」は、構成する「世界適塾AO入試」「世界適塾推薦入試」「国際科学オリンピックAO入試」などの総称。
 出願要件などは学部・学科により異なることになるが、例えば「世界適塾推薦入試」は、課題研究で優れた実績を挙げたと認められる者、調査書の評定平均値4・3以上であり、かつ、数学、理科の評価平均値が4・5以上の者、TOEFLiBTスコア80点以上の者またはIELTSスコア6・0点以上の者などが例示されている。
 学部によって、「適塾AO」か「適塾推薦」、「オリンピックAO」かを選択、設定する。文学部や人間科学部、法学部などは「適塾AO」。医学部医学科や工学部などは「適塾推薦」などで募集予定。
 神戸大学の藤井勝・理事・副学長が「神戸大学における入試の現状と課題」と題して講演した。
 同大学では平成29年4月に「国際文化学部」と「発達科学部」を再編統合し、新たに「国際人間科学部」(仮称)を設置予定で、各学科がそれぞれの強みと特色を生かしつつ協働して実施する実践型教育プログラムなどによって、実践型グローバル人材を養成することが目的。この他、28年度からは全学生を対象に2学期クォーター制を導入するなど、大学改革が進む。
 また、国際文化学部は、グローバル人材の育成を推進するための学部入試改革の一環として、28年度入試から英語外部検定試験(TOEFLiBT)のスコアを利用した推薦入試を導入予定で、4技能に優れた学生を選抜してグローバル人材の育成をさらに推進する。
 関西学院大学は高大接続改革や入試改革に積極的な私立大学の一つ。学内の推進機関、高大接続センターの尾木義久次長が改革状況を報告した。
 例えば、入試では平成26年度からは能力・意欲・適性を多面的・総合的に評価するため、グローバル入学試験を実施。国際貢献活動を志す者、英語能力・国際交流活動経験を有する者など五つのカテゴリーからなる試験として取り組む。
 28年度には4技能型の英語検定試験を活用し、英語以外は大学入試センター試験教科・科目の得点で判定する入学試験を実施予定。
 また、28年度にはスーパーグローバルハイスクール(SGH)やスーパーサイエンスハイスクール(SSH)を対象にした公募推薦入学試験、同大学が教育連携する高校を対象にした公募推薦入学試験なども取り入れる予定だ。
 名古屋大学の木俣元一副総長は「名古屋大学における高大接続改革とアドミッション・ポリシー」と題して講演。
 「高校生の夢の実現」を重視し、入試で受け止めるなどの考え方を披露した。また、三つのポリシーを策定し、高大接続のみならず、高校から大学、大学から社会へと、人生の三つの期間の接続を改革していきたいと話した。
 切れ目のない教学マネジメントについては、時間をかけて構築していきたいとし、具体的には、アドミッションセンターは平成28年度めどに発足させることを検討。同センターには調査企画部門、高大連携部門、国際連携部門で構成することを構想する。
 既に初年次教育にアクティブ・ラーニングに重点を置く「基礎セミナー」を導入するなど、大学教育改革に取り組み、多面的・総合的な入学者選抜方法でも平成32年度までに入学定員比率を倍増させ、35%まで伸ばしたいという。
 横浜国立大学の海老原修教授(入学者選抜部部門長)は、実学中心、全国から学生を迎え入れ、4年間同一のキャンパスで過ごす都市型の国立大学と特徴を説明。
 アドミッションポリシーで示す学生像では例えば、教育人間科学部では問題意識を抱き、未来を切り拓いていこうとする人、経営学部では社会の発展に貢献したい意欲的な学生などとした。入試改革ではインターンシップなどをAOや推薦での要件にすることなどが構想されている。
 千葉大学の佐藤智司・副学長は、来年度新設予定の国際教養学部(仮称)や、その入試の在り方、今後の方向性など、千葉大学の改革について話した。
 大学自体はグローバル化に向け、10年後には留学生3千人、1学年の半数を海外に留学させるのが目標。また、来年度は年間6ターム制にし、必修の授業を置かないタームをつくり、海外留学を容易にしていく。
 国際教養学部(仮称)では、世界的な課題を日本の力で、解決することができる学生を育て、「国際」「日本」「科学」の混合(ブレンド)によって、新たな価値の創造を目指す。全員に留学を義務付けるなどの特徴がある。
 同学部では通常型と特色型の入試を設け、どちらかを選択。通常型の外国語では外国語検定試験の成績を利用し、例えば、TOEFLiBT80以上は満点に換算する。特色型は小論文と面接(英語)。

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