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専手必笑!インクルーシブ教育の基礎・基本と学級づくり・授業づくり

19面記事

書評

関田 聖和 著
笑顔の実践に基づく解説

 「専手必笑」。もちろん先手必勝のもじりなのだが、著者の信条だという。専門性を生かし、常に笑顔で接していく、それが本書の背景にある。そして、読み終えた今、本書には大きな特徴が二つあることを指摘したい。
 第一は、もちろん内容の充実ぶりである。6章仕立ての前半2章が、主題であるインクルーシブ教育についての著者の受け止め方が述べられる。実践に裏付けられた分かりやすい表現なのですうーと頭に入る。それでいて主題に対する確固とした信念が伝わる。後半4章は、文字通り日常実践を通しての学級経営や教科指導の留意すべき点が具体的な言葉で語られる。明日の実践にすぐにでも使えるものばかりだ。
 第二には、本書を手にした読者の利便性を考慮した、心憎いばかりの構成だ。以下、その工夫を列挙する。囲みを使って基礎・基本となる事項を押さえる。箇条書きと書体の工夫で論点を明示し、整理する。行間を思いっ切り空けて、内容を焦点化する。原則的には見開きページでまとめ、テーマも見やすい。
 今までに手にした書物の中で、これほど読みやすかった本はまれである。インクルーシブ教育への正しい理解と笑顔の実践は本書から始まるといっても過言ではなかろう。特別支援教育担当のみならず、通常学級の教員にこそ読んでほしい一冊だ。
(1944円 黎明書房)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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