日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

知財創造教育【第7回】地域コンソーシアム

NEWS

pick-up

 知財創造教育は普段の授業で扱えるものとはいえ、その実践を学校教育の現場に任せておけば実施できるというものではないと考えています。児童・生徒たちが学びを自らの問題として捉え、将来役立つものであることを認識しながら主体的に取り組むためには、興味や関心を持てるような身近な文化や経済活動などと関連付けてワクワクしながら学ぶことが効果的であり、授業の題材や教材、出張授業の提供といったかたちで、自治体、地元の企業や団体等の有する資源を活用することが期待されます。
(文=仁科雅弘・内閣府知的財産戦略推進事務局参事官)

 このような認識のもと、学校と地域社会との効果的な連携・協働を図ることを目的として、日本全国に地域版の知財創造教育推進コンソーシアム(以下、「地域コンソーシアム」という。)を設置することを目指しており、その設置に向けた実証事業(注1)を行っています。2017年度は、北海道、中部、近畿及び九州の4地域ブロックで事業を行い、2018年度は、これに東北、関東、中国及び四国を加えて合計8地域ブロックで事業を行っています。

 実証事業では、地域社会と連携して学校において知財創造教育の授業を実際に行うことなどを通じて、地域コンソーシアムに求められる機能や体制、地域コンソーシアムを通じて知財創造教育を普及させるための方策等について調査をしています。同時に、将来的に地域コンソーシアムの活動を、より地域に根差した地域主体のものとするための仕組みについても検討を始めています。
 実証事業の中では、地元企業が自社の製品との関係で創造性に関する出張授業を行うことを通じて、学校側にはモノづくりや働くことの意義を企業人から生徒に直接伝える、すなわち本物に触れられる機会が提供され、企業側にはユーザーとしての学校や生徒のニーズを把握したり、社会貢献を実感することを通じて従業員満足度を向上させたりするための機会が提供されるという、まさにWin-Winの関係が構築された事例も報告されています。

 また、少年少女発明クラブや一部の学習塾の活動に見られるように、知財創造教育は放課後や休日に学校教育外で行う活動の中でも実践可能なものであることから、地域コンソーシアムには、学校教育外で行われる知財創造教育を促進する機能を果たすことも期待されます。このような観点から、文部科学省が地域や企業の協力を得て推進している「土曜学習応援団」(注2)との連携も行っています。

 さらに、内閣府が行う実証事業と並行する形で、知財創造教育を推進する自治体も登場しています。鳥取県では、県内で開発されたイノベーション教材「発明楽」(第1回連載参照)をキー教材として、「産」(商工団体、協賛企業、報道機関)、「学」(鳥取大学、県・市町村教育委員会)、「官」(鳥取県、鳥取県発明協会)が連携した「とっとりイノベーション教育コンソーシアム(仮称)」の編成が検討されています。同県の取組については、2019年2月に開催された知財創造教育推進コンソーシアムの会合において、地域における知財創造教育の先進的な取組事例として、平井鳥取県知事から紹介いただきました(注3)。

 次回は、教員や保護者等の関係者へのアプローチについて説明します。

(注1)地域・社会と協働した「知財創造教育」に資する学習支援体制の調査、平成29年度の4地域ブロックにおける調査の最終報告書については、知的財産戦略本部の「知財創造教育」ウェブサイトに掲載
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tizaikyoiku.html

(注2)文部科学省、「土曜学習応援団」

(注3)知財創造教育推進コンソーシアム推進委員会(第3回)資料2「鳥取県説明資料(小さくても勝てる 鳥取発!イノベーション教育)」(鳥取県知事平井伸治)、2019年2月20日
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/tizaikyouiku/consortium_suisin/dai3/siryou2.pdf

pick-up

連載