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アクティブ・ラーニングによる 新全国学テ・正答力アップの法則

20面記事

書評

2020年度からの新方式はこうなる!
田中 博之 著
深い学びにつながる授業改善促す

 文科省の全国学力・学習状況調査の専門家会議の委員を務める著者が、新学習指導要領が求める「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)に取り組むことによって学力テストの正答力が上がる理由や、深い学びにつながる指導方法などについて解説した。
 第I章「アクティブ・ラーニング(主体的・対話的で深い学び)で学テの正答力アップの理由」は明快だ。例えば「自分の考えを積極的に発表する」(主体的な学び)ことは学力調査の「自分の考えを100字で記述する問題」に対応する力を付け、「複数資料を比較して考察する」(深い学び)ことは「複数資料を比較して考察する問題」を解く力につながる。
 具体的な授業改善の道筋も「深い学びの技法」として九つの技法を具体例として示し(第II章)、訪問調査などから分析する「秋田式探究型授業」を紹介(第VI章)、実際に学力アップの成果を生んだ全国の学校の取り組みをそれぞれの特色と共に掲載した(第VII章)。秋田の成果では座って聞く姿勢、楽しく興味を持って遊ぶ集中力、保育者による遊びの計画作りと、幼稚園・保育園のヒミツにも迫る。
 学力調査の成果と課題も明らかにしつつ(第V章)、大学入学共通テストでの「記述力」にも通用すると説く(第III章)。
 初等教育から高等教育までを視野に、21世紀型学力の育成を目指す授業改善を促す一冊である。
(2160円 学芸みらい社)
(矢)

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