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環境学習のラーニング・デザイン

14面記事

書評

アクティブ・ラーニングで学ぶ持続可能な社会づくり
日本環境教育学会 編
深い学びへ多彩な教育手法

 一般社団法人日本環境教育学会の設立30周年を記念して企画、刊行した。同学会が蓄積してきたアクティブ・ラーニングを取り入れた教育の方法を提示した点も特徴がある。
 全15章で構成。「持続可能な社会づくり」の担い手を育成するため、各章の前半に置く「解説」で取り上げたテーマへの理解を深める。その上で、後半には教室の中でテーマを深く学べるような教育方法を提示した。
 テーマ自体は「二つの人口問題・過疎と過密」「日本の人口減少と高齢化」「多文化共生と多様性の是非」「再生可能エネルギーか自然保護か」「日本の中山間地域の再活性化」「地球温暖化の理解と対応」など、自分事と捉えなければならない今日的な環境課題をそろえる。
 学びを深めるための教育方法もジグソー法やディベート、ワールドカフェ、ロール・プレイング、ディスカッションの他、肯定的に順位を付け協議の素材とする「ピラミッド・ランキング」、時間軸によって過去の出来事、未来予測、ビジョンを明示し、学習者の気付きを促す「タイムライン」、円形の段ボール紙を使い話し合いの経過を文字、イラストなどで表す「えんたくんミーティング」など多彩な手法を知ることができる。
 大学教職課程の講義でのテキストとしてだけでなく、高校以下の教室でSDGs(持続可能な開発目標)を視野に「深い学び」につながる手だてを考える際の参考になる。
(2200円 キーステージ21)
(矢)

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