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学校も地域もひらく コミュニティ・スクール

16面記事

書評

宮崎 稔 著
「スクールコミュニティ」実現のヒント

 著者は平成9年8月の発足以来、「学校と地域の融合教育研究会」(融合研)の会長を務め、各地の学校と地域の共生に尽力してきた。
 第1章「地域にひらかれた学校のダイナミックな変化」は著者自身が校長として勤務した千葉県習志野市立秋津小を取り上げ、同様に校長だった同市立大久保東小(第2章危機感でまとまった学校と地域)、同市立鷺沼小(第3章施設を貸すだけで地域との無理のない協働が)での試みを通して、学校と地域との良好な関係づくりの要諦を提示する。
 定年後も、面目躍如たる活動は続く。今では過疎地活性化モデルの一つとなった島根県海士町に地元高校校長含みで島へ招かれ、結果的に学校支援地域本部長、指導主事として町に貢献、東日本大震災後の宮城県女川町でも学校・地域双方の支援と活性化に寄与。その様子は第5章に詳しい。
 こうした実践から感じた学校と地域の「すれ違い」を「あるある話」にまとめ、その乗り越え方を第4章で、コミュニティ・スクールから「スクールコミュニティ」を実現する方法を第6章で、それぞれ語った。
 目の前の子どもを最優先に、学校の本分を見極めながら、地域とともに歩こうとした姿勢は同じ志を持つ教職員に勇気を与える。学校に寄り添うことを願う地域の人にとっては、教員の文化、事情の一端を知ることができる。共生への一歩を後押しする一冊である。
(1760円 農山漁村文化協会)
(矢)

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