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教育のディープラーニング 世界に関わり世界を変える

14面記事

書評

マイケル・フラン、ジョアン・クイン、ジョアン・マッキーチェン 著
松下 佳代 監訳
濱田 久美子 訳
地域との学びが資質・能力を育む

 著者らが提唱する「ディープラーニングのための新しい教育法」は、オーストラリア、カナダ、フィンランド、オランダなど世界7カ国で取り入れられ、実践されている。
 本書ではディープラーニングについて「6つのグローバル・コンピテンシー」を獲得するプロセスとする。グローバル・コンピテンシーとはキャラクター(人格)、シティズンシップ(市民性)、コラボレーション(協働)、コミュニケーション(意思疎通)、クリエイティビティ(創造性)、クリティカルシンキング(批判的思考)。例えば、キャラクターは学ぶことの学習、やり抜く力、責任感、誠実さなどと定義する。
 コンピテンシーを獲得するために教育実践、学習パートナーシップ、学習環境、デジタルの活用を学習デザインの4要素とし、ディープラーニングを学校やシステム全体へと広げるビジョン、学習の深化などを中核的条件に示す。これらに継続的な協働探究を加え「ディープラーニング・フレームワーク」の全体像を提示した。
 随所に各地の実践を掲載する。身の回りに課題を見いだし、地域と協働しながら、解決、行動する子どもの姿がある。「世界に関わり世界を変える」学びが具現化する。
 日本での探究的な学習は、グローバル・コンピテンシーの芽を育てる好機である。できれば教室内の学習にとどめず、現実社会と向き合い、世界を変えるプロジェクトへと一歩を踏み出したい。
(3300円 明石書店)
(矢)

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