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空間認識力を育てる!おもしろ「地図」授業スキル60

16面記事

書評

寺本 潔 著
五感活用、他素材も融合的に扱う

 評者も社会科教師の端くれだ。本書を手にして第1章を読み始めたら、胸がときめくのを感じた。かつて実践した地図帳の使い方、方位意識を育てること、歴史学習で地図を傍らに置かせたこと、地球儀指導等々、ちゃんと触れられているではないか! うれしかった。でも、その先は著者の実践に遠く及ばない。
 著者は「地図が読めなきゃ社会科じゃない!」と断言する。そして、思いの外、地図帳の出番が少ない現実に警鐘を鳴らし、自らの実践例を小学校3年生から学年ごとに章立てして示したのが本書なのだ。
 各章の項立ては、教師の活動をはっきりさせるための「ポイント」がまず示される。次いで、「活動の流れと指導の工夫」として、手順や教材の取り扱い上の工夫を解説する。最後に、「空間認識力を鍛えるポイント」として留意すべき事柄を示す構成になっている。これらを見開き2ページでまとめているので、関心のあるところから、あるいは、やってみたいところから読むのも良い。ところどころに挿入されている略図やイラスト、図表なども理解を助けてくれる。
 著者の指導には、子どもたちの五感をフルに活用する、他の素材も融合的に扱う、声に出して臨場感を持たせるなど、ご自身が楽しんでいる様子がうかがえる。読者もこんな体験を共有できれば地図指導が楽しくなるだろう。
(1980円 明治図書出版)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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