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先生の時間はどこへ消えた? 仕事の時短仕分け術

19面記事

書評

梶谷 希美・石川 和男 著
時間の「断捨離」法、管理職こそ参考に

 ブラック企業と揶揄されて久しい学校現場だが、その根本は長時間勤務であろう。どこかで踏ん切りをつけなければ改善は望めない。本書はその時間のいわば「断捨離」書である。断捨離は言うはやすく行うは難いものだ。誰でも考え実行しようとするものの、結局、中途半端で終わってしまう。著者たちも十分承知での提言だ。何しろ、自ら経験してきているだけに説得力がある。
 本書は5章仕立て。学級事務や校務分掌から始まり、お決まりの会議時間や回数のこと、子どものノート指導、子ども理解や触れ合いの時間確保等々、時間の断捨離法を示唆してくれる。梶谷氏の具体事例に対して、石川氏がコメントをするといった体裁で話が進む。
 読むにつれて、「確かにそうだった」「しなくても影響はなかった」「読まなくてもよいものに力を入れていた」などの感想が生じるはずだ。「時間は有限です。仕事のやり方は自分で選ぶことができます」との著者のコメントは当たり前ではあるが、重く受け止めなければならないだろう。
 電子化が進み、紙媒体の使用も少なくなってきている今、本書の提言を真正面から受け止めてみる必要があろう。全てを受容することは大変だが、できるものから徐々に進めればよい。個々の教員のみならず、むしろ管理職にこそ手に取ってほしい一冊だ。
(2200円 学芸みらい社)
(八木 雅之・元公立小学校校長)

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