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超多忙な教師たちを救う 学校改革の極意

12面記事

書評

努力の前に、仕組みを変える。
西留 安雄 著
校務改革の具体的手法を紹介

 本書のねらいは、著者が「はじめに」で述べているように、「学校の多忙解消を実現させる校務改革の手法」の紹介である。書名にも使われ、本文でも多用されている「極意」という言葉からは、「豪腕」「敏腕」な校長を想像しそうであるが、この著者に最もふさわしい語は「しなやか」であり、柔和な表情が似合う優れた経営者であると感じさせる。
 本書では、子どものために全力を尽くすという教師の本務を全うするために最も重要なことは、「校務改革」を実現することだとして、「極意」の数々を優しい言葉で噛んで含めるように紹介していく。そこには著者の、このままでは子どものためにこそあるべき学校がパンクしてしまう、という強い危機感がにじんでいる。
 校務改革の道筋として、「教員個人が意識して変えていくべきこと(11項目)」「教員同士で協力して変えていくべきこと(14項目)」「外部機関等と連携して変えていくべきこと(6項目)」等を示している。
 どれも著者が、「今実行しようとしていることは普遍的な価値がある」「教職員にはやり遂げる能力がある」と固く信じてリーダーシップを発揮し、困難を克服した自信に裏付けられた方策であると信じさせるものがある。
(2200円 教育開発研究所)
(新藤 久典・文部科学省学校業務改善アドバイザー)

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