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ごみの自動分別機械作り技術科教材を無償提供

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 機械要素部品を開発・生産しているTHK(東京・港区、寺町彰博代表取締役社長)は科学技術関連企業のリバネス(東京・新宿区、丸幸弘代表取締役グループCEO)と共に、ごみを自動で分別する機械の部品を教材として中学校などに無償で提供する。設計や組み立て、プログラミングなど本格的なものづくりを学び、チームで協力して課題を解決する楽しさを知ってもらうことが狙いだ。
 中学校技術科の授業での活用を想定して開発した。この教材では、センサーを使って、アルミ缶、スチール缶、ペットボトルを自動で振り分ける機械が作製できる。教材セットにはモーターやセンサー、マイクロビットなどが入っている。
 4~5人のグループワークで最短2コマ(約100分)で実施できる内容にまとめた。教材を作る上で、教員に特殊なスキルがなくても済むよう配慮した。中学校技術科以外でも、高校の理数探究の時間や中学校・高校の部活動などでも活用してほしいという。
 募集数は30校で、希望が多い場合は選考を行う。4月28日まで受け付けており、「ものづくり0.(ゼロドット)」というホームページから応募できる。
 教材の開発には中学・高校の教員も携わった。また、試作教材を用いた出張授業や教材モニターには、千人以上の生徒が協力したという。
 モニター校の生徒からは「『捨てるのが楽しくなる』というテーマが、問題の解決法として新鮮で面白かった」「チームで議論をしながら試行錯誤できたのが良かった」といった声があった。教員からも「実際の課題に則したテーマで生徒が受け入れやすかった」「授業が2コマで完結できて良い、事前授業することで試行錯誤の時間が多く取れる」と好評だったという。
 2日に開かれた2社合同の記者会見で、THK取締役専務執行役員の寺町崇史さんは、「少子高齢化が進む中、工学部志願者も減少傾向にある。このままでは日本のものづくりが衰退しかねない」と危機感を示した。
 リバネスの丸さんは「ものづくりの場合、学校で十分な教材を用意できていることが少ない。この分野の進化は早く、教員だけで教材を準備するのは難しい」と話した。
 このプロジェクトはTHKが令和3年に創立50周年を迎えることをきっかけに平成29年から始まったもの。また、リバネスは平成24年から「サイエンスキャッスル」という中高生向けの学会を開いている。THKなど他社とも協働し、生徒への援助も行っている。

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