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指導主事の仕事大全 次世代の教育を切り拓く実務・技能・知識

18面記事

書評

佐々木 幸寿・伊東 哲 編著
豊富な経験談添え実像に迫る

 公立学校で教育実践や学校経営を行う中で、教育委員会による指導・助言や各種支援は不可欠であり、その最前線にいるのが指導主事である。本書は、指導主事の職務を幅広く解説し、そこで必要とされる能力や振る舞いについて整理している。
 指導主事と一口に言っても、配置される組織の特性等に応じて仕事は幅広い。本書はそれらを最大幅で捉え、「大全」として概観と整理を試みている。「つなぐ」「支える」「育てる」や、「学校教育に関する専門職」かつ行政・政治に対する教育現場の「エージェント(代理人)」「バッファー(調停役)」といったキーワードは、職務内容と求められる資質・能力を理解する助けとなる。また豊富な指導主事経験談が添えられているのも本書の特色だが、ここでは「すき間産業」といった役割認識も示され、職務の実像に迫っている。
 本書の内容は、学校教育を行う中で教育行政がどのような役割を果たしているのかを理解する面でも有益である。(日本において)学校経営は決して万能とはいえず、学校単体でできることには一定の限界が伴う。管理職側(学校側)からの学校経営論に加えて、こうした教育行政からの視点で学校・教員への指導・助言・支援を理解しておくことは、より深く立体的に学校経営を把握し、より良い姿の構想にも資するものとなろう。
(3300円 教育開発研究所)
(川上 泰彦・兵庫教育大学教授)

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