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人生で大切なことはすべて学年通信のコラムに書いてあった

12面記事

書評

末松 孝治 著
“ちょっといい話”60編を啓発本に

 家庭とのコミュニケーションツールの一つとして、活用されているのが“通信”や“便り”などである。学級通信、学年通信、学校便りの他、食通信や保健室便り、専科通信など、その種類、形態は多様だ。
 本書は、学年通信の、白紙だった裏面を有効利用しようとして書きつづってきたコラムを一冊にまとめたものだ。コラムからは福島市内の私立高校の家庭科の教諭、野球部長といった著者の横顔も垣間見える。
 第1章「生き方に迷っているあなたへ」、第2章「勇気がほしいあなたへ」、第3章「プラスの視点を持ちたいあなたへ」、第4章「学びが必要なあなたへ」、第5章「ピンチをチャンスに変えたいあなたへ」に60編を超えるコラムを分類して収めた。古いものは平成25年、新しいものは令和3年の執筆である。
 各編が“ちょっといい話”としてまとめられている。読み手により、琴線に触れる部分はさまざまだろう。小欄の好みで言えば、著者と娘さんとのやりとりなどを素材にしたものや、著者の所属高校での部活動での生徒たちの活躍、プロスポーツの世界に踏み出した同校出身の生徒にまつわる物語などが興味深く読めた。
 学年通信に接することで、保護者は子育てで大切なことが分かるだけでなく、保護者自身の啓発につながる。生徒にも読んでほしいが、保護者に支持が多いのは、うなずける。
(1430円 宮崎中央新聞社出版部(U―chu企画))
(吹)

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