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教育と情報とメディア コロナ禍から見えてきたこと

16面記事

書評

黒澤 和人・下村 健一 編著
PC依存など山積する課題への提言

 編著者の下村健一氏は、「教育という営みの多くは、情報という根っこに拠って立つ花である」と述べ、「その根っこから花へと水分や養分を運ぶのがメディアだ」と、誠に明快な比喩を用いて教育と情報とメディアの関係を示している。
 この三者の中で最も大きな変化を見せているのはメディアだと述べているが、全くその通りである。「教師の板書をノートに写して学ぶという長い間の形態は一変し、電子機器によって電子情報を学ぶのが常態になりつつある」とまで言う人もあるほどだ。学校現場の教師も子どもも、新しいメディアの操作と活用の方法を身に付けることに追われている。
 だが、可視的な表層のメディアの変化よりも、深層で生じつつある「肝心の根っこである情報の根腐れ」の方がさらに深刻な問題であると下村氏は指摘する。「情報の信頼性の揺らぎ」や「情報の真偽の見極めの困難化」「事実や正しさよりも速さ」「デマ情報の感染爆発」等々の事態に、長引くコロナ禍がメディア機器の急速な活用を促し、教育を「グラつかせ」ているとも述べる。重い指摘である。
 かかる現下の状況が生む「PC依存」「マイナンバーパンデミック」「デジタルゲームの光と影」など教育界に山積する課題にいかに対し、いかに解明、打開すべきか。本書の各分野の専門家の提言集成がそれらに明快かつ的確に答えている。
(2200円 学文社)
(野口 芳宏・植草学園大学名誉教授)

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