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学校安全のリデザイン 災害、事件、事故から子どもたちを守るために

12面記事

書評

宮田 美恵子 著
既成の対策にも警鐘鳴らす

 学校を安全・安心な場所に、というのは全ての人の願いだろう。だが、現実には通学路での自動車事故によって児童の命が失われ、そのたびに安全点検の掛け声は上がるが、事故の連鎖は止まることがない。スクールバス内での不測の事故から、飛来するミサイルへの対応など、必要な安全対策は枚挙にいとまがないのが現状だ。
 本書は、学校安全の3領域として「生活安全編」「交通安全編」「災害安全編」に分類して、それぞれの場面での安全対策についての見直しを提案する。その視座は平成13年6月に大阪教育大附属池田小で発生した無差別殺傷事件からの20年である。
 危険を察知した際にその場から逃げ出すための「ノーランドセル」、安全確保のための専門家の登用などを著者は提案する。また、作成したままになっている防災計画などマニュアルの再確認、避難訓練の方法の工夫などにも言及している。防犯対策として広がっているランドセルにぶら下がる防犯ブザーは本当に使える状態にあるのか、子ども110番の家は現状で認識されているのか、さまざまな形で取り組まれる防犯マップを役立てるために留意することなど、既成の対策にも目配りし、警鐘を鳴らす。自然災害時の障害のある児童・生徒の安全確保策にも触れた。
 児童・生徒の命を守るために、いかにすべきことが多いか、改めて実感できる。
(1980円 学事出版)
(矢)

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