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「今を生きる」人の心に刺さる 世界の名スピーチ50選

20面記事

書評

鉄人社編集部 著
岐路に立たされたときの指針に

 本書は、古今東西を問わず、今の時代を生きる人々の心に響くスピーチ50本を収録したものである。
 元米国大統領バラク・オバマ氏は、広島の平和記念公園訪問スピーチで、「思いをはせるため私は広島を訪れた」と述べ、社会学者の上野千鶴子氏は、東京大学入学式で「頑張っても、それが公正に報われない社会があなたたちを待っています」と厳しい祝辞を贈った。
 タレントのタモリ氏は、赤塚不二夫氏の葬儀・告別式の弔辞で、「私もあなたの数多くの作品のひとつです」と述べた。手にしていた紙を何度も見ながら時折涙声で弔辞を読んでいたが、実際にはその紙は全くの白紙だった。
 「贈る言葉」「反戦と非差別」「幕引き」「メッセージ」「追悼」に分けて収録。私生活や仕事でつまずいたとき、岐路に立たされたとき、ここに取り上げた言葉は、私たちに何らかの指針を与えてくれるだろう。
 スティーブ・ジョブズ、北野武、レディー・ガガ、チャールズ・チャップリン、メリル・ストリープ、ジョージ・ルーカス、小野裕信、ヘレン・ケラー、植松努、イチロー、ルー・ゲーリッグ、マイケル・ジョーダン、宮崎駿の各氏…他にも満載だ。個々のスピーチに、その時の状況や解説が添えられ、感慨深い。
 教育関係者など、あいさつやお話をする機会が多い人にとって、座右の書となると思う。
(803円 鉄人社)
(谷 智子・高知大学客員教授)

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