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いじめ重大事態、4月から国へも報告を 国公私立学校に要請

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文部科学省

文科省

 いじめにより、生命・心身に重大な被害が起こった疑いや、不登校に至った疑いがある場合、国公私立学校は4月1日以降、国に報告するよう、文科省が要請している。これまでも、自治体の首長には報告する仕組みだった。公立校、私立校とも、教育委員会を通して報告する。

 10日に都道府県教委などに文書で要請した。文書名は「いじめ重大事態に関する国への報告について」(依頼)。文科省のホームページにも報告書書式と合わせ掲載した。

 国立学校はこれまでも国に報告することとなっていた。4月からは、公私立校と同じ書式で報告するよう求めた。
 「いじめ重大事態」は、いじめ防止対策推進法に規定がある。生命・心身に重大な被害が起こった疑いがある場合など、この規定に当てはまる事態が生じた際は、組織を設けて事実関係を明らかにするよう求めている。自治体の首長にも報告するよう求めている。幼稚園は対象外。
 4月1日にはこども家庭庁が発足する。10日付の文書によると、重大事態が起こった際の調査員が確保しづらい場合、同庁の「いじめ調査アドバイザー」が人材を紹介する仕組みを設けることを背景に、国への報告を求めることとなった。
 いじめの背景には、家庭問題など、学校だけでは根本的な解決が難しい課題がある場合があることから、文科省は、同庁などと連携して対応・支援するとも記した。
 報告対象は4月1日以降に、首長への報告を行った重大事態とした。
 報告書の書式は、被害を受けた児童・生徒が所属する学校は記入し、被害を受けた児童・生徒の氏名は記入しないとしている。
 同じ事態を複数回にわたって報告することを想定し、何回目の報告かを記入する仕組みとした。
 書式には記入例も示した。今回の記入例では、生徒が自宅マンションから飛び降りて亡くなったこと、いじめの存在を記す遺書があったことなどを記している。
 そうした概要・経緯に加え、被害を受けた児童・生徒、保護者の生活状況や、重大事態が発生してから、どのように対応するかを記入する欄を設けた。

文部科学省

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