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児童サービス論 地域とつながる公共図書館の役割

14面記事

書評

伊香 左和子・塚原 博 編著
読書にいざなう意義など解説

 「図書館は、大人と子どもが一定のルールのもとで共同利用・共有することのできる数少ない公共機関」であり「子どもに市民意識を育てる生涯学習の機会を提供する重要な場」と、本書では「児童図書館」を意義付ける。
 「児童図書館」として独立していなくとも、地域にある公共図書館では児童室設置や児童へのサービスを提供する館は珍しくない。読書意欲の喚起や探究のための資料の必要性などが求められる学校関係者には、ぜひ足元の図書館の可能性にも目を向けてもらいたい。
 本書は「講座・図書館情報学」(山本順一監修)全12巻の7巻目として刊行した。
 児童図書館の意義から始まり、その成立と発展、児童図書館を担う児童司書の専門性や役割などを解説。児童の資料については発達段階と読書の在り方、館の蔵書構成の他、昔話や絵本、児童文学、知識の本、漫画など資料を細分化して提示し、レファレンスや子どもを本の世界にいざなう技法、障害のある子どもなどへのサービスの在り方も取り上げる。
 地域社会への支援と連携、館運営の基礎的事項なども全15章に網羅し、児童サービスの全体像を知ることができる。
 概観すると「ヒト・モノ・カネ」にまつわる課題が少なくないことに気付かされる。同じ悩みを持つ学校図書館、公共図書館が互いをリスペクトしながら、高め合う関係になれるといいのではないだろうか。
(3850円 ミネルヴァ書房)
(矢)

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