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教科書と自主開発教材でつくる 道徳授業10の原理・100の原則

14面記事

書評

堀 裕嗣 著
新しい実践の道しるべを提案

 国語科授業論や教師論など、これまで多数の力作の著書を上梓してきた著者が、ついに道徳授業の実践論を出版した。道徳授業の要は、次の著者の主張に集約される。
 <私はすべての教師が、自分が<当事者意識>をもって「本気」になれる授業を年間にどれだけ開発できるか、そこに一年間の道徳授業が機能するか否かのポイントがあると考えています>
 そこで、教科書のみの現行の道徳授業(ソロ道徳)の問題点を示す。その上で「教科書教材」と「自主開発教材」をコラボレーションさせる「シンクロ道徳」を提案する。この「シンクロ道徳」の構造を、分かりやすく10点に整理している。道徳の授業を教科書の読解に終始している教師には刺激的ですらある。
 他教科において、教科書教材だけでは不備・不足がある場合、補充教材や発展教材が持ち込まれることをヒントにして、著者はこの「シンクロ道徳」という、全く新しい道徳授業の在り方を示した。
 「おそらく全国で行われている教科書道徳の授業の九分九厘は、この『ソロ』の授業形態であるはずです」の著者の確信から生まれた本書は、これからの道徳授業の実践の道しるべになるに違いない。願わくば本書が教員養成系必修単位になっている道徳の講義のテキストになってほしい。道徳の授業で論議する価値を学生が追体験できるからである。
(2376円 明治図書出版)
(庭野 三省・元公立小学校校長)

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