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絵本で実践! アニマシオン 子どもの力を引き出す26のプログラム

12面記事

書評

木村 美幸 著
楽しく学べる読み聞かせの工夫

 読書のアニマシオンは一般的にグループ参加型などによって、読む楽しさ、読む力を養成する読書指導法といわれている。その創始者マリア・モンセラット・サルトの「読書へのアニマシオン」に準拠して、著者独自の絵本を使ったメソッドを、初・中・上級に分け26種類のプログラムとして紹介した。
 最初に学んでほしいテーマ、養いたい力を掲げ、それを具現化するためのプログラムの概要、選んだ本の粗筋と注目点、絵本の読み手である「アニマドール」がする事前準備、読み聞かせる際の手順や配慮事項を示す。また、実践した保育士などの工夫・声も紹介し、その他の「おすすめの絵本」を含め各項目4ページ単位で掲載している。
 例えば「注意力を引き出す」(初級6)では、谷川俊太郎作の「これはのみのぴこ」(和田誠絵)を選び、登場人物をカードに模写したものを準備し、子どもたちに配って登場人物が出てきたら、順番に置いてもらうようにする。順番通り並んでいるか、物語の面白かった場面などで子どもの考えを聞き出していく。
 間違っても叱らない、なぜそう思うのかを丁寧に聞くなどの基本姿勢は本書を貫き、意見を言いやすい環境を醸成する。
 プログラム紹介の合間にはコラム「絵本教室」を挿入して絵本そのものへの理解を深めるのに役立つ。「子どもの力を引き出す読書教育」書であると同時に、優れた絵本ガイドにもなっている。
(2420円 北大路書房)
(矢)

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