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生徒指導~小学校段階での考え方~【第156回】

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災害にどう備える

 生徒指導が災害時にどう活かされるかを考えてみたい。災害における弱者は老人と子どもと言われる。生徒指導提要では、その時その場に応じて適切な行動が取れる力の育成を目指している。
 ことさら災害時はその極致となる。機動力となる高学年と、大半が弱者となる低学年が小学生には共存する。特別支援学級の児童の扱いは一人も見過ごさないという視点から重要なポイントになる。

 残念ながら、学校の教育課程の中で防災教育が行われていることを知る町会役員や防災リーダーは皆無に近い。さらに学校のフットワークの悪さや上から目線のためか、学校との関わりを敬遠する者もいる。
 しかし、いざとなると、このつまらぬ障壁が結果として多くの命を奪うことになる。愚かな人災が起きる要素がここにもある。自助、共助とは人命尊重という人道の視点から行動する日頃の人格の陶冶が求められる。

 災害現場で活躍する人々には多様な思いが存在する。自分達が助けて頂いたお礼にとか、出来ることをしたいとか、人の役に立ちたいとかの思いがある反面、弱味につけこむ愚劣な輩も存在する。
 この全てが小学生で人間の基礎となる学びを経てきている。この愚をさせないためにはどうすればよいか。そこが曖昧である。
 私はその事実を教え、愚行への怒りを意図的に強く抱かせる事にあると信じて教えてきた。美談のみで済ませると自己に内存する魔性に気が付かない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~