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コロナ時代に考えたい学校問題【第9回】

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戦争への危機感

 様々な歪なリーダーの「欲」と「パフォーマンス」が世界で横行している。この分断のエネルギーが連鎖しているように感じられる。ここ数十年、どの国でも軍事費が増大されている事から、「やられたらやり返す」と言う報復合戦がどこで起きてもおかしくない状況になってはいないだろうか。朝鮮半島も含め、キナ臭い動きが世界のあちらこちらで起きている事に私達は危機感を持たねばならないが、何処か他人事である。

 欧州の観光地では、自動小銃を持つ軍人を目にすることがある。日本で言うなら上野動物園の入口やディズニーランドの周りに軍人が配備されているようなものである。いわゆる「イスラム国」の関係もあったのだろうが、これが日常になっているのだ。
 友人の航空自衛隊一佐の機長は、「偵察飛行し、領域侵犯の他国の駆逐艦を威嚇するために警告をしたが、その度に、何度も機体を撃たれ怪我もした」と、生々しく話してくれた。このような事実をメディアは報道しない。不思議である。

 コロナから、人種差別そして暴動、軍隊のつばぜり合い、破壊と、SDGsの「1人も取り残さない」とは正反対の動きの方が加速しているように思える。視野を地球規模にして見ると、国内の問題をこねくりまわしている時ではないとも感じられる。

 時代を変えるのは、青年であり、今の子ども達である。1999年に「超限戦」という中国人民解放軍の大佐二人が書いた本はご存じだろうか。既に見えない限界を超えた戦争が始まっていることが実感できるだろう。

 争いは、先手先手に、予期して止めなければ、手遅れになる。一番の歯止めを考えるなら、教育に委ねるしかないのである。争いを収束させ、絶対的な平和を維持する対話へと転換する教育をしている自覚が、教師自身に強くなければ、結果として、戦争に荷担したことになりはしないかと私は問いたい。
 不退転の強い意思を持ち、分断をくい止める「諦めない対話」の必要性を熱く語り、演習、実践、行動させる教師を、日本の養成段階の何処でも育成されてはいない。そこで教鞭を取る教授達は、戦争が始まってからでは止められない事を学んで来たはずである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

コロナ時代に考えたい学校問題