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子どものこづかいの指導 予算生活をさせよう

13面記事

書評

齋藤 勝通 著
教科や道徳での実践を紹介

 「子どもの経済観念の指導様式を求めて」が、著者のライフワーク。“予算生活をさせよう”と副題の付く本書は、著者の実践研究をまとめたもの。前著「子どもの金銭教育」(黎明書房・昭和60年)に続き、小学校における小遣い指導の全てをまとめたもの。教職生活を一貫して、テーマを追った著者に学ぶ点は多い。貴重な、教職OBではないか。
 計画的な家計管理のできる子を育てるには、いかに教育活動を展開するか。本書は9章構成で、それを具体的に述べる。「こづかい指導の意義」(1章)で、(ア)使う経験の支援(イ)望ましい人間形成の手段(ウ)定額制の実施(エ)こづかい帳の記録―と指導の観点を示す。続く2章で、「子どもの経済観念の発達」。研究者の論文を、よく読み込んでいることに注目。教育現場にいる者として、これは忘れてはならないことなのだが…。先行研究に接することを、研究手順として承知の著者だ。
 3章は「教科での指導」、4章が「道徳での指導」。広く全国各地の実践に学ぶ構えで、引用、参考、紹介もする。(1)こづかい(2)予算生活(3)貯金(4)お年玉―の指導についても章立て。「家庭の理解と協力」が終章。著者が教職に就いた昭和30年代、小遣い定額、子どもの予算生活は多くの保護者と教師が直面していた問題であった。
(1944円 黎明書房)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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