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生徒指導~小学校段階での考え方~【第165回】

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教科・指導

「いただきます」の心を育てる

 「いただきます」と、手を合わせて言うが、それを教師がどれ程理解してやっているかは疑問である。命をいただくのだから感謝してと児童には教えている。では、その命をいただく行為に教師は立ち会っているだろうか。
 生徒指導の要所に自他の命にどう向き合わせるかという最重要ポイントがある。殆どが大学までに実践的には学んでいない。

 理科の研究授業で、モンシロチョウが卵から成虫までの過程を学ぶ中で、餌をカイワレ大根にして命の循環を扱ったものがあった。この研究授業で、動きの見えないカイワレ大根の命には触れなかった。すなわち命とは何かを理解していないのである。
 友人の猟師から、鹿を獲ったのでと呼ばれた。目の前で解体が始まった。首を落とし手際よく部位に分けていった。その場で山の恵みに感謝して料理をして頂いた。何も無駄には出来なかった。

 給食の残飯は、生産にかける費用を越える費用を掛けて処分している実態がある。物は溢れ使い捨てが当たり前になっている。そうした消費者を社会や教育が作っている。
 命をいただく場面を残酷として子どもには見せない教育にしてしまった。しかし誰かがその仕事をやっているから私達は食べられる。
 キャリア教育も全員がそこから経験させる事で初めて「いただきます」の感謝が心からわいてくる。
 物の向こうには人が居る。それを感じさせる事が生徒指導では欠かせない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~