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学校をブラックから解放する

22面記事

書評

教員の長時間労働の解消とワーク・ライフ・バランスの実現
教職員の働き方改革推進プロジェクト 編
「調整休暇制度」を打開策に

 教員の多忙化問題がかつてないほど注目を浴びている。OECD国際教員指導環境調査(TALIS)で調査参加国中、最も長時間勤務だった調査結果によって、日本の中学校教員の実態が教育界では再認識された。その中学校では当事者も含めた部活動の過重負担への異議申し立てによって、世間的にも学校現場の“ブラック”化が認知されつつある。
 教員の多忙化解消に対するチャレンジはこれまでもあったが、決め手を欠いてきた。過労死ラインを超える働き方は放置できるはずもなく、教員の職務整理や、タイムカード導入による時間管理、夏休み期間などでの長期閉庁など、各地で新たな手は打たれてきているものの、実効性はどこまで担保できるか。
 本書が提案するのは、長時間労働の一因となっている「給特法」(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の見直しを前提とした「調整休暇制度」の提案である。
 特に、代替策として浮上する「1年単位の変形労働時間制」の問題点を指摘し、時間外勤務手当てへの上限を伴いつつ、法定時間を超えた分を代替休暇とする「調整休暇制度」の有効性と現実性を主張している。
 多くの教員に自分たちの働き方を見詰め直し、教員本来のワーク・ライフ・バランスを獲得するための手段を考える機会を与えてくれる一冊である。
(1944円 学事出版)
(矢)

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