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学力向上・授業改善・学校改革 カリマネ100の処方

14面記事

書評

村川 雅弘 編
「民主的」風土では改革滞る

 こういう本は誰がまず読むべきか。まず校長である。本書には小学校と中学校の2人の校長体験者が、自校のカリキュラム・マネジメント(カリマネ)について、具体的に述べている章がある。ここを読むだけでも校長の在り方を考えさせられる。
 こんな指摘はどうか。
 <学校改革を行う現場は、「よく考えてから」「周りの意見を聞いてから」とすることが多い>
 この学校風土の現実を校長自ら変えない限り、新教育課程が求めているカリマネはできない。つまり校長による「積極的なトップダウン・マネジメント」を展開しなければ、学校は変わりようがないことを本書は示唆する。
 次の指摘も重要である。
 <教職員全員で方策を練ることも考えたが、それでは学校は動かない>
 「みんなで進める学校風土」は、民主的で聞こえは良いけれど、学校改革は実は進まないことを管理職は銘記するべきである。もちろん有能な幹部職員がいるなら、かつての校長のように任せることもできるだろう。しかしそういう教員はここ20年ぐらいで、かなり減ったはずである。あまりにも雑多のことで学校が忙しくなったからである。
 校長がカリマネの先頭に立とう。この大切さを本書から学びたい。
(2160円 教育開発研究所)
(庭野 三省・新潟県十日町市教育委員会教育委員)

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