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新校舎のすべての教室に加湿器を整備

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施設特集

各教室の天井に整備された「てんまい加湿器」

東京都立永山高等学校

 冬季の教室は暖房を使うことで乾燥がより一層進み、さまざまな感染症の要因となるウイルスが増殖しやすくなる。このため、学校施設を新築・改修する場合はエアコンと併せて加湿器を整備することが今や標準となっている。昨年7月に新校舎を竣工した東京都立永山高等学校(平栁伸幸学校長)も、すべての教室に加湿器を整備して快適な室内環境の確保に努めている。そこで、これまでの活用状況について原田柊太副校長に話を聞いた。


都立永山高等学校の新校舎

教室内の冬季の乾燥対策に教員の手間を省けるのが魅力
 多摩市唯一の都立高校となる同校は、老朽化に伴い校舎を改修。新たに恵まれた学習環境を備えた鉄筋コンクリート造4階建の校舎に生まれ変わった。その中で、普通教室や特別教室、職員室などすべての室内に合計118台整備されたのが、ウエットマスター(株)の滴下浸透気化式加湿器「てんまい加湿器」だ。
 同校では1~2月の厳寒期を中心に、インフルエンザ等の感染症の予防策として加湿器を活用しているが、ひと冬を越した感想を原田副校長は次のように話す。「従来、教室ではポータブルな加湿器を使っていましたが、もっとも大きな変化はカビが発生しないように毎日フィルターを管理したり、水の補充を定期的に見る必要がなくなったことです。そうした教員の手間が省け、必要なときにすぐに稼働できるのは大きなメリットだと思っています」
 加えて、これまでの加湿器では教室の一部しか適切な加湿ができなかったが、室内全体をムラなく確実に加湿できるようになったと指摘する。同機は室内の空気を吸い込み、加湿した高湿空気を直接吹き出す方式のため、空調機の冷暖運転や風量変動に左右されない特長を持つ。しかも天井埋め込み式で美観を損なわず、静音性が優れている(強運転で40dB)ことも学習環境にとっては大事な要素だ。

教員の判断と併せて、遠隔操作で各教室の湿度を見守り
 教室で加湿器を使用する際は、壁に設置されたリモコンスイッチを使用する。密閉性の高い学校施設では、室内の湿度が40%を切らないように配慮して感染症リスクを抑える必要があるが、「操作はON・OFFと強・弱のみと簡単なのですが、教員はほぼノータッチで運用できています」と様子を語る。
 経営企画室(事務室)からの遠隔操作が可能で、加湿器が必要な季節に目標湿度60%に設定して機器側のセンサーに任せて稼働できているため、「実際にはそちらの判断によって稼働させている場合が多いのでは。特に、夏場のエアコン使用による低湿度は教員も気づきにくいことから、自動的に適切な湿度になるように調整してくれているのではないでしょうか」とのこと。
 また、快適な運用には定期的な点検やフィルターの清掃交換などが必要になる。その点も、同機はカビや臭気などを防いでくれる乾燥運転モードが搭載されているほか、加湿器内の加湿材の取り外しが1分以内で可能など、日常的なメンテナンスの作業負荷を軽減できる長所を備えている。
 今年の冬も、さらなる新型コロナの第8波やインフルエンザとの同時流行が懸念されており、集団生活を行う学校にとっては気を抜けない時期が続く。その意味からも、教室内の湿度を保つ加湿器を上手く活用し、生徒の健康維持に役立てていくことを期待したい。

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