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生徒指導~小学校段階での考え方~【第49回】

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弁護士と共に保護者対応(下)

 学年委員長であり卒業対策委員長の保護者から苦情の電話が入った。担任がテストをいっこうに返却しないというものだった。確認すると、全員で間違い直しをして翌週から随時返す段取りが出来ていた。
 そのことを伝えると激昂して「嘘を言わないで下さい。もっと上に訴えますよ」と、罵声を吐いた。面白いと感じて、「『上』ってどこですか」と尋ねた。「教委とか議員とか弁護士とかいろいろありますよ」と返事があった。
 これは相当の人物と分かり、生徒指導担当や学年主任などから情報を収集した。姉妹がいて、皆が閉口していたことが判明した。また、吐き捨てるように「私の主人は学校医です」と言う。
 そこで「今、話をしておられる側にお子さんはいますか。この会話を聞かせていますか」と確認すると、「もちろんです」とのことであった。このままにすると子どももこうした思考になってしまう。そこで腹は決まった。
 さっそく、友人の弁護士に名誉毀損と恫喝について内容証明郵便を書いてもらい準備を整えた。その後、当該保護者に会うたびに「いつ訴えるの?」と催促し続けた。教委からはことを荒立てないようにと連絡が入っていた。
 PTA役員にはその所業を伝え、任命した責任を自覚させた。これは生徒指導というより、保護者指導であるが、どの学校にも殿様ガエルのような人物がいる。中には毒を持つ者もいるので心して気を付けて欲しいが、悪意は退治せねばならない。だからといって、人や子どもは憎まない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~