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生徒指導~小学校段階での考え方~【第55回】

「もの隠し」が起こったら

 もの隠しは、低学年から始まる。最初を安易にすると連鎖することになる。不意の出来事に教師はあわてる。
 もの隠しは、概して気の弱い子が、やられたことをやり返す時に用いるケースが多い。外見のみの気の弱さではない。すなわち困らせる手段として手っ取り早く効果抜群なのである。
 現象は同じでも要因や規模はかなり異なる。ものが出てきたらよかったでは教育とはならず、単なる対症療法に過ぎない。
 ここで大切なのは自分のやった行為が自分に降りかかる因果を効果的に演出することにある。これは小学校段階でないと見破られる。
 例えば、親に指導の意図と効果を説明して、役を演じてもらうのである。軽い出来心がこんなにたくさんの大人が真剣に受け止めて悲しんでしまうと言う事実を集中的に味わわせる。本人から私が悪かったと吐露するまでやり遂げないと必ず再発する。
 舞台は3回必要である。
 1回目は、担任、保護者、本人で、悪いと思っていることが分かったら、一切責めずにあえて親と担任が自分の責を徹底的に吐露する。
 2回目は、学年主任、生徒指導担当、担任、保護者、本人で主任、担当が自分の責を吐露する。
 3回目は、校長又は教頭、生徒指導担当、担任、保護者、本人で本人以外が責を吐露する。最後の最後に、本人の思いを吐露させる。
 これは「ガマの油」を出すガマガエルのように、自らの罪に気づいて心の汗や涙を流す手法であるし、結果として大人も成長できる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~