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生徒指導~小学校段階での考え方~【第159回】

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性根を鍛える

 いい大人が「あおり運転」を起こすわけを子どもに問われた時、どう答えるか。道路の斜め横断も、点滅時の横断も「危ない」と指導する大人がやっている現実がある。いずれも権力や凶器のようなものを持つと本性が現れてしまう幼稚さが感じられる。
 本性はそう簡単には治らない。厳しい訓練を経たスポーツ選手でも、欲望をコントロール出来なくなって起こす事件はよくある。

 この性根の部分を家庭でしつけられない時代になっている。また、社会にも規律を守らせる力が弱まっている。個人情報保護を重視するため、逆に危険が増している例も少なくない。道路交通法の罰則も現実社会に合っていない。
 どこで性根を鍛えられるのか。どうしても学校になるだろう。では、どの場面でどのように行うのか。社会人になる前にして欲しいなら、幼児教育から小学校教育に対して、今の数倍の権限と裁量権と財源を配当しなければ、性根を鍛え上げる事は出来ない。

 中学校・高校段階では明らかに遅いが、指導できる経験とスキルのある人格者を、教職課程を持つ大学の教師陣に配置して、学生の性根を鍛える事は期待できる。
 幼稚な事件を起こさせない為には、人間の根を作る幼児教育、小学校教育を見直し、生き方関連の分野を軸に据えて取り組むべきである。
 いつまで対症療法をやれば気がつくのか、種から発芽はしても、豊かな大地と太陽と厳しい雨風により根を張り、大樹へと育つのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~