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「現代的な課題」に取り組む道徳授業

14面記事

書評

柳沼 良太・梅澤 真一・山田 誠 編
社会科と連携で問題解決型学習

 「現代的な課題」への接近、児童・生徒が主体的に考え、協働して議論する問題解決的な授業。「特別の教科道徳」はそれを求める。教材作りとその授業が、学校(教師)の直面する課題だ。“価値判断力・意思決定力を育成する社会科とのコラボレーション(注 合作・協力)”と、本書に副題が付くのはなぜか。それは、問題解決型学習の教科史を社会科が有しているから…。心情中心型の従来の道徳の時間と比べれば、それはよく分かるだろう。
 本書は3章構成、「現代的な課題に取り組む道徳授業のつくり方」が第1章。現代的な課題や、社会的問題に対応した道徳授業の必要性、授業構成が論じられる。「価値判断力・意思決定力を育成する社会科授業に学ぶ」が第2章。ここでは、「ゴミ集積所の設け方」「個人商店繁盛の秘密」など七つの単元例が、具体的に示され、取り扱い方が説明される。
 「現代的な課題に取り組む道徳授業の実践例」(第3章)は、小学校中・高学年、中学校3年の14主題を取り上げる。全主題について、(1)子どもの実態(2)授業のねらいと教材(3)指導上の工夫・留意点(4)評価について(5)展開例(板書、指導案)(6)授業記録(7)資料―が詳しく書かれる。これを手掛かりに、教材、指導案作りが始まるのだ。それは、教師にとって、“楽しい仕事”のはずだろう。
(2592円 図書文化社)
(飯田 稔・千葉経済大学短期大学部名誉教授)

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