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生徒指導~小学校段階での考え方~【第153回】

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車内で座る若者

 車内で若者が「われ先に」と座席に座ろうとする光景が増えたように思える。座ると携帯を取り出して触り始める。常に何かをしないと落ち着かないのか、心配なのか。
 これは小学生が目指す理想像なのだろうか。情報をいくら得ても、豊かに賢くなったとは感じられない。車中で周りに気遣いながら会話をする姿が懐かしい。今は携帯電話の操作をしてない人を探してしまう。

 携帯電話がもたらす有益性は認めるが、こうした光景が示す日本社会に、活力や創造や連帯はあるのだろうかと不安になる。この不安要素に最初に侵食されるのが中高生に思える。一時も手放せない麻薬のようになっている。
 これは人類にとって望ましい事なのだろうか。企業としては固定財産だろうが、人の時間すなわち命を利益にするのだから倫理観を失ってはならない。

 このところ、企業経営者の研修会に講話で呼ばれる事が急増した。講話のテーマは「本当に優秀な人の育て方」としている。子ども達と富士山へ挑戦する動画では、皆が目頭を潤ませる。感想には、人としての素直な言葉が並ぶ。そうさせるのは何なのか。失いかけている人としての原点を映し出すからかもしれない。子は鏡なのである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~